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    本気のドライバー教育で生き残りはかる

    2010年7月1日

     
     
     

     「中小・零細だからといって負けるわけにはいかない」――。
     経営環境が厳しくとも、自らが選んだ運送事業に誇りをもち、勝ち残ろうとする中小運送会社がある。そうした経営者らが一様に強調するのがドライバー教育への取り組みだ。目新しいものではないが、先行き不透明な時代にあって、勝ち残ろうと本気のドライバー教育を実施している経営者らの話を聞いた。


     ドライバー教育の重要性は常に指摘される。安全、環境、品質など運送事業に求められる要素も、その根本は教育につきる。注目されているのは運転技術だけでなく、挨拶や身なりといったビジネスマナーの部分だ。
     これまでは冷房もない事務所の一室で丸く集まって教育をしており、ドライバーにとっては教育を受けて充実するどころか、苦痛の時間でしかなかった。そうした環境を変えようと、研修用の部屋を新築。講師は保険会社など外部の人間に依頼し、ドライバーの学ぶ環境を整備したことで雰囲気が一変することに成功した。
    自分が勤める会社名書けず
     「社会人としての挨拶もできない。まだ、そんな業界なのか」。
    K社長はトラック協会の支部で実施している健康診断で、他社のドライバーの様子を見て唖然とした。
     くわえタバコで受け付けにやってきて社名も用件も言わない。申込書に記入を促すと、仲間のドライバーに自社の社名の書き方を聞く始末。「当社では考えられない。働いている会社名も知らないで働ける業界なのか」と驚いた。
     K社長は法令順守にこだわり、教育にも熱心だ。社外の研修機関を利用して教育機会を持ち、そうした機関からドライバーが表彰される際には家族も一緒に行けるようにするなど、待遇だけでなく心を大切にしてきた。経費もコストもかけて教育している運送会社が評価されるようにしてほしいという。
     「プロドライバーとは何かを勉強させている」という車両十数台のN社長。「運転技術」「車両と交通の知識」「礼儀作法」の三つを兼ね備えた勉強会を定期的に実施する。少人数の会社なので、教育内容は社長が考え、技術面はトラックディーラーが、知識や礼儀作法は社長が教える。当然のことだが社会保険は全員加入し、安全会議などにも時間外手当を付けている。「零細企業だから社会保険が払えないという経営者の下に、プロドライバーが育つはずがない」と考えている。
     同社の取り組みに特別なことはなく、会社は法令順守し、社員には技術、知識、礼儀作法を徹底した。会社として当然のことを行っただけだが、運賃は同じ荷主に入っている他社の2倍だ。「これだけのことをしているので当社は高い」と説明し、運賃が安い仕事は断っている。
     「元請け事業者との価格競争なら実運送の小さい会社のほうが強い。大手元請けは10%も20%も手数料を取って下請けに回すのだから、その分を引いて中小の実運送にやらせてもらえば荷主にとってはコストダウンになる。ただ、そのためには中小事業者の会社と人の両方が信頼される必要がある」。車両十数台のO社長。
     言葉遣い、挨拶などを徹底して、ドラレコとデジタコを全車導入して安全、環境に対応している。「ただし、人材の品質向上は教育しかない」と挨拶の仕方を教えている。
     「これからは教育ができないところは生き残れない」。荷主に信頼される挨拶が10人中6人できる。「全社で60%できることが生き残りの分岐点と思う。これが10人中1人しか挨拶できる人材がいなければ存続できないだろう。言葉一つで仕事を切られる業界であるし、挨拶さえできれば仕事を得られる業界でもある」。
     大手と違い中小・零細事業者では、ドライバー教育に力を入れていないところも多いので、ドライバー教育によるサービス品質向上は差別化が図れる部分でもある。適正な運賃収受の面でも、運賃を下げさせない力になるようだ。

     
     
     
     

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