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    「事業者努力」アピールを 近畿の大気環境対策

    2012年8月30日

     
     
     

     近畿での大気環境状況と、それを抑制する施策が大きな曲がり角に来ている。「大型ディーゼル車による沿道環境の悪化」といった紋切り型の文言は数値上の事実として、もはや存在しないにもかかわらず、行政側はいまだ「大型車は迂回を」とモノトーンの呼びかけが続く。
     支援らしき支援も受けられないまま、まだ儲けられるトラックを代替えしてきた運送業界。「道交法などのコンプライアンスを満たしながら環境改善を実質的に推進したのは運送業界だ」といった認識は各所に存在はするが、大きな塊となってアピールを出すことができないでいる。


     「浮遊粒子状物質(SPM)は、平成23年度は全箇所で環境基準値超過日が2日以上連続のため非達成である」。7月30日、兵庫県尼崎市内で行われた「尼崎南部沿道環境改善連絡会」で配布された資料にはそう書かれている。近畿に17か所ある沿道環境の測定局全てでSPMが環境基準を超えたというのだ。6月下旬に近畿地方整備局が「測定結果」を発表した資料でも同じ内容について、「環境基準は全17局非達成」と書かれている。
     環境基準は、人の健康の保護や生活環境の保全の観点から「維持されることが望ましい」として設けられた基準値で、平成23年度の近畿の沿道環境、ことにSPMについては全くその基準を満たせていなかったということになる。また、この資料は道路交通と環境の調和をする「計画調整課」と名付けられた部署が出していることから、沿道を通行する車がまき散らした排ガスに由来するSPMが原因で環境基準を満たせなかったとみなしてしまいがちだ。
     実は近畿のSPMに関しては図のように、約10年間、右肩下がりが大きな基調になっている。公害訴訟の係争地になった尼崎市内の測定局でも、環境基準から大幅に下回っていることは明白だ。なぜ、客観データが反映されない文言が、連絡会で資料化されたり発表されたりするのか。
     計画調整課によると、同23年5月2ー4日の連続した3日間は、西日本全域で黄砂が観測されていたという。また2日は、ゴールデンウィークの飛び石連休に挟まれた月曜の平日、3、4日はいずれも休日だ。常識から見て、大型車の交通量が多い日であるはずがない。
     同課が本紙取材に提出した2、3日の交通量は、国道43号の尼崎市のもっとも東側の地点で、2日が6万6472台(大型車1万2566台)、3日が5万5006台(同5661台)。突出して交通量が多いということはできない数値だ。
     黄砂の影響が強かったと推察できる結果について同課の岩本雅也課長は、「観測地点の数値と黄砂の関連は、技術部門に問い合わせはしているが、国交省として調査の対象にはしていない」と話す。近畿地方ではSPMは過去8年間、連続して環境基準を17局全てで達成していたことも、平成23年度だけ「未達成」と断じた結論を出した同課の判断を疑う材料となる。また、NO2については23年度、初めて全局で環境基準を達成した。
     22年度のNO2の数値は兵庫県内で未達成の地点があり、今年3月に継続が決まった兵庫県の「ディーゼル車規制条例」も環境基準超過地点があることを、条例存続の根拠としていた。
     同様のディーゼル運行規制条例を敷く大阪府も7月、違反事業者名を公表する内容でパブリックコメントを募集している。先の記述からも分かるように環境基準が達成された同じ近畿地方の大阪が、条例施行から3年半が経過し、なぜ規制を強化するのか。府環境管理室交通環境課は、「環境基準は達成しても近隣他府県などからの非適合車流入の恐れもあり、しばらく規制を残す必要がある。事業者名の公表は事業者間の公平性を確保するため」としている。
     兵ト協環境対策委員会で副委員長を務める鳥居豊太郎氏(野田屋運送)の話「環境基準を達成したのは事業者であり、行政ではない。事業者はもっと胸を張ってもいい。これまでの事業者の努力と成果を外部にもっとアピールして行く必要がある」

     
     
     
     

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