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    「運転時間違反は30万円以下の罰金」EU諸国、厳格な罰則

    2012年10月5日

     
     
     

     イギリスでは運転時間、休憩時間の違反者は30万円以下の罰金――。
     厚労省の委託事業である「EU諸国における自動車運転者の法規制及び実態に関する調査研究」についての報告書が3月にまとめられたが、これによるとトラック運転者の労働時間についてEU諸国の場合、日本と大きく異なるのは罰則規定が厳格で、かつ厳重に取り締まりを行っていること。運送会社、ドライバーともに厳罰が科せられ、欧州ではしっかりとしたルールが作られ、トラックドライバーの労働条件の改善に力を入れていることがうかがえる。


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     日本では過労死と認定されるトラック運転者が他産業と比べて突出して多く、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)が厚労省から出されているが、一向に改善されていないことを踏まえ、同省が日通総研に委託してまとめられたのが、この報告書である。
     東京大学の水町勇一郎教授、関西大学の安部誠治教授、北海学園大学の川村雅則准教授らにより昨年4月から1年かけて調査し、まとめられた。EUの中でも先進国とされるイギリス、ドイツ、オランダ、フランス、スペインの5か国と日本のトラック運転者の労働環境を比較している。
     EU5か国の3.5トン以上のトラック運転者に適用される運転時間規制は、運転時間1日9時間(週2回まで10時間に延長可、2週で90時間)、連続運転時間4時間30分(45分の非運転)、休息期間11時間(週3日までは9時間可)となっており、日本の改善基準とさほど差はない。
     日本と大きく異なるのは罰則規定が厳格で、かつ厳重に取り締まりを行っている点。個人オーナー・運転者に対しても事業者と同じ罰則が設けられている。イギリスでは運転時間や休憩時間の違反者は30万円以下の罰金が科せられ、他のEU先進国でも違反者に対して30万─80万円前後の罰金が科せられる。
     また、それを証明するタコグラフの装着が義務化されているが、イギリスでは違反したものは60万円以下の罰金が科せられ、他のEU諸国でもほぼ同じ内容。フランスではタコグラフ不装着は重大な犯罪とみなされ、1400万円以下の罰金または1年以下の懲役に処せられる。
     イギリス・ドイツ・オランダでは06年からデジタコの装着が義務化されている。データは会社側が管理するだけではなく、警察や行政機関に定期的に提出し、一定期間の保存が義務付けられている。
     その運用は、路上検査や事務所内への立ち入り検査で取り締まられる。取り締まる権限をもつ機関が各国の警察を含め多く存在し、連邦政府機関やオペレーターサービス庁、税関当局、労働監督署、各自治州の交通取締局など、あらゆる行政機関が連携している。
     運転者には全員「運転者カード」(デジタルタイムカード)が発行され、警察や交通公共事業検査局などが所管。事故を起こした場合、定期的に労働時間に関する帳票類を諸官庁に提出する義務が課せられ、労働時間管理には行政機関が厳しい目を光らせている。
     結果として、このEU5か国で労働時間絡みで運送会社が運転者から提訴された事例はほとんどない。EU諸国の労働時間規制の主な目的は、「公正な労働条件の確保」「運転者の労働条件の改善」以外に「道路交通安全の確保」とあり、報告書では、公共道路上の安全を確保し、国民の生命を守る理念が行政機関の横断的な強力な監視に及んでいると締めくくられている。
     日本では、事故を起こした場合、ドライバーは道路交通法で罰せられるが、労働時間超過では罰せられない。企業の責任は事故原因が労基法違反と判断された場合に警察から労基署に通報され、悪質な場合、書類送検、また運輸局からの車両停止処分などで、EU諸国とは罰則規定や監視体制に格段の差があると言える。

     
     
     
     

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