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    実運送100%の運送会社は収支が合わない

    2013年4月4日

     
     
     

     運送業界の労働環境などについての実態調査や研究を行っている摂南大学経営学部「羽石研究室」(羽石寛寿教授)は、2月に事業者インタビューを通じた卒業論文を発表した。その中で物流二法による規制緩和が及ぼした影響として、「事業者数が大幅に増加し、需給バランスが崩れ、運賃の不当廉売が横行している。結果、実運送100%の運送会社は年々減少し、倉庫業や他の事業も併せて運営しなければ収支が合わない」と分析している。


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     昨年11月から12月にかけて、兵ト協東部支部加盟の運送会社を中心に20社中14社を訪問し、インタビュー形式で調査を実施。設問項目は労働管理、賃金、規制緩和、業界の現状など多岐に渡り、それぞれの回答を分析し、問題点をまとめ上げた。
     「ドライバーの労働時間減少のための工夫」についての労働管理の設問では、「長距離運行の際には近距離の仕事を組み合わせ、場合によっては外部に傭車を依頼している」「ドライバーに対しても8時間以上・200km以上の連続運行は避ける計画を立て指示を出している」。また、「高速道路の積極的利用」や、「時間外業務や点検・洗車などの運行以外の部分に対して外注に出している」といった声が多く寄せられた。
     「ドライバーの賃金を向上させるため、どのような工夫が必要か」との設問には、「荷主に対し運賃交渉を行っている」「より良い荷主を確保」「荷物の積み合わせなど実車率を向上させる」「燃料費・高速代などを最小限に抑える」「運送以外のサービスで仕事を取っていく」。
     さらに、届け出運賃と実勢運賃の差については、「荷主側も実際に走る事業者が本来収受するべき運賃を知らない」「一定程度の目安とされる運賃水準は示すべき」。また、「実勢運賃を下げている原因は、燃料等のコストを度外視した運送業界内のダンピング合戦が問題。運賃交渉の際にダンピング後の運賃を提示され、非常に厳しいものを感じた」といった意見が挙がった。
     物流二法による規制緩和が業績にどのような影響を与えたかについては、論文で「『イニシアチブ・主導権が逆転した』という声があるように運送会社から荷主への運賃交渉力が低下した。参入規制の緩和によって事業者数が大幅に増加し、積み荷需給バランスが崩れ、運賃の不当廉売が横行している。その運賃で無理だと言えば他社に依頼されてしまい、渋々条件を飲まざるを得ない状況がある」と分析する。

     
     
     
     

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