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    国道43号の大気環境改善策協議 連絡会合が終結

    2013年7月25日

     
     
     

     兵庫県尼崎市の国道43号沿道の住民と国が12年にわたり、大気環境改善策を議論し合った連絡会合の場が終結した。
     2000年12月の大阪高裁による和解を履行するための連絡会合。終結合意書には①現在行われている環境ロードプライシングを引き続き実施する②大型車に中央寄り車線の走行を促す「43号通行ルール」定着のための施策を実施する③43号を横断する歩道空間をバリアフリー化する、の3点が盛り込まれた。


    尼公害・文書合意.jpg
     連絡会合は今後も運営されるが、「(住民、近畿地方整備局、阪神高速道路会社の)三者による協調的な関係に基づく意見交換」の場になり、和解条項の履行のために協議してきた、これまでのものとは性格を異にする。
     6月13日の会合では、01年11月から始まった環境ロードプライシングの効果がまとめられた。周囲に住民が多い43号と、2階部分に当たる阪神高速3号神戸線を通る大型車を同5号湾岸線へと政策誘導する環境ロードプライシングなどの施策で、01年2月には31.8%しかなかった湾岸線利用率が今年2月の調査では44.6%に上昇している。
     阪神高速道路は、「湾岸線の分担率が12.8ポイント増加」したとみている。環境ロードプライシングは、湾岸線利用時の割引率を段階的に原則3割引にまで拡充してきたことも成果に寄与しているとした。
     また、大型車の中央寄り車線走行を促す「43号通行ルール」は、東行き車線で各時間帯とも、住民への環境負荷が大きいとされる左側車線(第一通行帯)の通行比率が30%程度、西行きでは25%前後あることが報告された。ただ、今年4月の調査では昨年4月時点よりも第一通行帯の利用比率が減少しており、広報看板などを設置してドライバーにPRした成果だとみている。
     住民側の松光子団長は、「ある程度、成果が目に見える形になった。車の問題だけは私たちだけでは無理だと思う」と述べ、大型車ユーザーに理解を求めたい考えを述べた。
     12年間、計47回を数えた尼崎公害問題連絡会合が、和解条項履行のために開かれることはなくなった。つまり、00年12月の大阪高裁での和解が名実ともに終結し、尼崎南部地域は法的には公害係争地ではなくなる。
     連絡会合の目的でもあった沿道環境そのものは、11年度のデータからは環境基準をクリアしていた。10年度までは二酸化窒素の値が43号の東本町交差点などでクリアできない状態が続いたが、11年度、12年度の同町での値が0.060ppm。環境基準ギリギリではあるが、2年間にわたって本来の目的である沿道環境が改善されたことがデータ的に証明された形だ。ちなみに、浮遊粒子状物質は03年度から各地点とも環境基準を満たしている。
     連絡会合では、環境基準よりもむしろ、大型車の通行台数をいかに減らすかに焦点が当てられ続けてきた。01年2月の調査で3万9000台余りあった43号と3号神戸線の通行台数は、今年2月の調査では3万2000台余りにまで減少。多くの大型車が湾岸線に迂回したことはデータ的に明らかだ。
     環境基準が満たされたのち、行政内部でも「なぜ、尼崎地域だけで連絡会合を持っているのか」といった疑問に対して、歯切れの悪い対応が続いてきた。今回の連絡会合の一つの終結は住民側からもたらされたものだというが、行政からも終結させたいとの考えは聞かれていたのだ。
     松団長が言った、「車の問題は私たちだけでは無理だと思う」は大型車ユーザーへの今後のメッセージだ。43号を通行してはいけないという法的な縛りをなくして成り立つ、通行台数の微妙なバランス。保ち続けられるかどうか、トラック業界の思いに依るところが大きい。

     
     
     
     

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