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物流ニュース
早朝・夜間の対面点呼 急がれるロボット代替導入
2019年4月18日
「夜間・早朝? 30年間ごまかしてきた」——。近畿地方のトラック事業者は現行の安全規則上、求められる対面点呼について、そうもらした。事業者が話したのは、事業所で今後の「活躍」が見込まれるAIロボットを使う形の対面点呼の風景を、インターネット上の動画で見たときだった。動画には、運転免許証での本人確認から始まり、アルコールチェックをロボットの発話に促されるままに乗務員役の人間が「点呼」を受ける風景。
事業者が、より感銘を受けていた動画の風景は、ロボットが「あなたは今日のような晴れの日、スピードが出がちになります。安全運転でいってらっしゃい!」と、点呼の最後に発話していた場面だ。
このロボットには、過去の運行記録データを蓄積・分析できる人工知能技術が内蔵される。例えば、乗務員が休日の前日の運転でスピード超過がしばしば見られる場合、その状況を「次の日の予定に浮かれ気分になっている」と、設定次第ではロボットが読み取る。つまり、過去の乗務員の行動データをもとにして、その人の傾向性を学習していく機能が内蔵されているというものだ。
事業者は、「きちんとした点呼を行う人間の運行管理者なら、過去のデータを読み取るというのとは違うが、乗務員の性格を適切に分析できる。しかし、そうした能力そのものは運行管理者試験では問われてはいない」。事業者の指摘は、対人コミュニケーション力とでも呼ぶような能力に欠ける運行管理者よりも、設定がきちんとなされたロボットのほうが適切なアドバイスを乗務員に与えることができる、というものだ。
国交省は昨夏から、対面点呼に関してロボットをどのように活用できるかを検討している。また、経済団体からも「点呼業務と点呼内容の記録をロボットが代替できるようになれば、人手不足が深刻化するなかでも着実かつ効率的に点呼業務を実施できる」(3月19日付の経団連規制改革要望)として、トラック分野の点呼業務から対面要件を外すよう求めている。
先の事業者は、対面点呼時のアルコールチェックが義務化された8年前から、夜間・早朝専門の点呼者を都合3人雇用してきたが、いずれも続かなかった。現役リタイヤ組の男性3人だが、体調がいずれも悪化したのだという。手を拱いていたわけではないが、夜間・早朝の対面点呼など「絵に描いた餅」との印象を深くしていった。
AI技術によって事実上、人間並みの能力を備えたロボットが出現した。人間による対面点呼といった「画餅」の幻想に浸っている時期はもう過ぎていると感じる。
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