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    ミスマッチと「違法」の認識、いつまで続くのか

    2019年7月4日

     
     
     

     新たな就業者を雇い入れる場面で、前に務めていた会社に直接問い合わせて勤怠状況などを聞きだす行為。「こうした行為は、してはいけないことになっているんでしょ」と話すのは、精密機械運搬のあるトラック運送事業者だ。「働き方改革」による労働法規の相次ぐ改定により、ますます不利になる労使関係における使用者側の立場を嘆きながら、事業者は言葉を続けた。「なぜ、勤怠状況を聞き出してはいけないのか。できて当然だ」と。事業者の認識の前提には、個人情報保護法によって前職の様子を聞きだす行為が禁止されているとの考えがあるが、果たして、その前提は的を射ているのか。

     似たような指摘はあちこちのトラック事業者から聞かれる。石油製品を輸送する近畿地方の事業者は6月、実に17年ぶりに新たな求人を出した。荷主を限定してきたこと、従業員が長く定着してきたことから求人の必要がこの間、なかったのだ。

     17年前の様子を次のように話す。「以前に務めていた会社に電話するのは、半ば常識だった。以前は取扱事業もしていたので、求職者の会社を直接には知らなくても、間接的に聞くことさえできた」という。

     この間に施行された個人情報保護法と、社会のプライバシー意識の先鋭化によって、17年前と同じことができるとは、もはや考えてはいない。「周りから人手不足は聞いているが、ウチは浦島太郎のような状態。人手不足で焦って雇い入れたのが『不良従業員』ということのないようにしたい」と話す。

     食品輸送が主力の別の事業者は次のように話す。「応募者の前の職場を直接知っているときには電話で勤怠状況を今も聞いている。しかし、知り合いでないときにはそういうわけにもいかない。人手はほしいが、そういうときには予防的に採用を見合わせることもある」

     これらの事業者に見られるのはいずれも、応募してきた求職者の人となりの見分けがつきにくく、本来は「相思相愛」になり得た場合にも雇用のミスマッチが起きている可能性があるということだ。また、「違法」との認識を感じながらも、勤怠状況などの問い合わせを続けている不健全な状態も共通している。

     事前に防げるミスマッチがいまも継続し、また「違法」状態を続けざるを得ないのはなぜなのか。

     別のトラック事業者は、自身の経験もあわせて指摘する。「クレジットで大きな買い物をした直後に、別のクレジット会社からカードの利用停止の通知が来たことがある。信用情報が共有されているから、こうしたことが起きるのだろう」「個人の信用情報という個人情報中の個人情報が共有できるクレジット会社のような業界がある一方で、以前から会社を渡り歩いては勤め先を引っ掻き回す、その道の『プロ』のドライバーの個人情報すら共有できないトラック業界の差は、いったい何なのか」

     厚生労働省は、個人情報保護法の成立から2年経過した2005年、個人の退職情報など雇用管理分野における個人情報の取り扱いに関する指針をまとめ、公表している。その中で、退職に関して、「退職者の転職先または転職予定先に対し当該退職者の個人情報を提供することは第三者提供に該当するため、あらかじめ本人の同意を得なければならない」とする。この文面は、この場合の個人情報の範囲は特定されていないものの、退職者本人の同意があれば、転職先の会社からの問い合わせに応じることは可能とも読めるものだ。

     この文面を引き合いに出し、事業者からの「よくある質問」に対する回答をHPに掲載する愛知労働局は本紙取材に、「退職者本人の同意があれば問い合わせに応じてよいかどうかを明確にした厚生労働省の指針は、ない」と答え、退職者本人の同意があるか否かが問い合わせに応じられるか否かのポイントだとの見解を示している。

     
     
     
     
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