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物流ニュース
「2割」の矛盾 労働時間長く、賃金は低い運送業
2020年2月4日
労働時間が他産業に比べて2割長く、半面で賃金が2割低いとされるトラック運送産業。この産業で「働き方改革」が目指すべきは、時間を抑え、かつ賃金の原資である運賃を引き上げるといった大きな矛盾に立ち向かうことにほかならない。改定貨物自動車運送事業法に基づく「標準的な運賃」が年度内にも国土交通大臣によって告示される運びのなか、従来からの矛盾に立ち向かうには各事業者による荷主への強気の交渉が欠かせない。そうした素地が、果たして業界の中に芽生えつつあると見ていいのだろうか。
労働時間と賃金の「2割」説は、国交省が一昨年に出した「トラック運送業の現状等について」のペーパーの中で触れたものだ。厚労省による「賃金構造基本統計調査」をもとに、2割説を示した。
業界関係者は指摘する。「労働時間から言えば、他産業平均と比べて1.2倍になっているべき賃金が、実際は0.8に留まっているということ。それから考えれば、賃金の時間単価は1.5倍にならなければいけない」。関係者は、「0.8×1.5=1.2」という、基本的な数式を示しながら指摘。かりに時給1000円のトラック乗務員がいた場合、その人に支払われるべき時給は1500円という計算になるということだ。
兵庫県内のトラック事業者は、そうした指摘を受けて次のように話す。「ウチの乗務員の時給はざっくりと言って、元請け事業者の乗務員のものより2割低い」。元請け事業者が最近出していた求人情報の単価と比較したという。
元請け事業者からの集配の仕事受注を拡大させていっている、この事業者。そのため、元請けから見れば「アンダーのアンダー」に当たる別のトラック事業者からの協力関係も拡大させていっている。
事業者は話す。「ウチの乗務員が集配をしようとすると元請けの事業者のレベルにまで、つまり2割は時給を上げていかなければならない。さらに、協力会社が乗務員に支払える時給も、1割は今より上乗せしないと人が集まらない」。協力会社ごと、乗務員の時給を引き上げ、元請け事業者からの受注を引き続き拡大させたい意向だ。
乗務員の時給を2割上げる。そのため事業者は、トラック運賃を今の約1割引き上げることを検討中だ。元請け事業者とも、おおむねの合意はできているという。
長距離を主軸に展開する別のトラック事業者。その口から飛び出した言葉は、「働き方改革」の号令とは、少し異質のものだった。「運賃はもちろん引き上げていっている。しかし、それ以上に乗務時間が伸びていっている」
事業者のもとには昨年、労基署の監査が入り、是正勧告も受けたという。勧告を受けたトラックの分の運行管理を完璧にさせた。
事業者は話す。「監督署の職員も『仕事』をしに来ている。ダメだった部分をいかに是正させるかが彼らの仕事。そうした対応をしたということ」。裏を返せば、勧告を受けなかったトラックで、むしろ乗務時間を増やしたのだと話す。「近隣の会社と比べて、ウチは給与がいい。人手もしっかりと確保できている」
「生産性の向上」という面から見れば、労働時間と比例して給与も増えるという話では、それは向上とは言えない。先ほどの2つのトラック事業者の例で言えば、時給を上げていこうとする前者の事業者のほうが、より生産性の向上に近いのだろう。協力会社を集め、元請け事業者、さらには真荷主に利便性を提供できているという付加価値を、他の事業者よりも持てていることになる。
一方、後者の事業者は、給与も他と比べて多いが、乗務時間も延びている。時間に対する給与の伸び率が高ければ、長距離トラックが集まりにくい昨今において、取引先に利便性を与えているといえる、つまり付加価値を出しているといえるのだろう。
しかし、この事業者の場合、いつまでこの体制が維持できるかが問題だ。「大きな事故が起きれば全て調べ上げられてしまう。そのときは会社として立ち行かなくなることは承知している」と事業者。
取引先に、どのような利便性を提供しているのか。そのことがもちろん大事なのは言うまでもないが、持続的に提供できない利便性はいかがだろうか。「標準的な運賃」がまもなく出され、各社による運賃交渉が本格化するのを前に、今一度、立ち返ることが必要だろう。
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運賃が高くなれば荷主はその中でも安い所を探し、仕事が減少する事業所は当然給料も下がる。
そうなると従業員の解雇や会社の倒産、防ぐ為には運賃を安くし価格競争となる。
価格競争になれば給料は維持か更に減少し、当然人も集まらなくなる。
このいたちごっこをどうするつもりだろう?
現トラックドライバーです。
正直運賃あげても価格競争にならないと思う。
仕事は溢れててトラックが足りない状況だからね!
いや、現状がそうであっても
儲かるとおもえば
甘い汁を吸おうとする奴が参入してくるので
弱者はなかなか幸せになれない。
油断する事なく
我々は新しい局面に対して
常に戦っていく必要がある
とみる
現時点で価格競争なんてないよ
ヤマトも佐川も他社も送料上げて人材確保にやっきだからね
単純に運転だけの手当であれば現状の賃金でもいいが、荷物の乗せ下ろし作業、トラック管理(洗車も)はほとんどの場合賃金には反映されない。
これはその通り。むしろ、苦にならない配送よりも手積み手下ろしの料金くれた方が納得できる。
いろいろ考えてみると
結局、かげでウハウハ儲かってる奴がいる
医療業界でも
介護なんかの業界でもそうではないのか
コンビニ業界もそう
ちょっとお金が流れる仕組みから考える必要があるのではないのか?
基本的には
会社の利益は株主のためにあるので
従業員には優先して還元されない
そのあたりも考えないと
会社が潤っても
社員は苦しいままかもしれない
だいたいの人が一回ないし二回社会からドロップアウトして運送屋になってんじゃねーのか?
金銭のことでとやかく言わず言われたことをこなしとけ!
お前は頭がおかしいのか?
そんなコメントしたこと、一生覚えておけよ
何様?基地害じみたコメントやめな
自分が出来る男と言いたいなら、こんなところで蔑んだ意見なんかいわないでしょ?
自分より下だと思う奴にコメントしてるようじゃ
鳴かづ飛ばず君^_^
記事の内容がおかしい。
給与が増えたら、生産性が上がったとするなら、両社とも上がっている。
勤務時間と時給が増えたなら、収入激増で人も集まるだろう。
忍耐ないやつ多いんだよ
朝早ければ起きれないとか
我慢する理由がないくらい給料が安いんだよ
我慢してる奴が馬鹿
元請けのドライバーの給料聞いたことがあるけど、たしかに俺より良かった。でも、いろいろルールというか縛りがきつくて、俺には無理だと思った。だから、文句あるようでない!って言い聞かせてる。
無駄だよ。
運賃上げれば必ず「ウチは安くやります」と言い出す(出し抜く)後先考えない馬鹿な会社(経営者)が出てきて、その負担分をドライバーへ背負わせる。
現状、解決策は無いのでは?
運転手もある程度、月給制にしないと食ってけないし、荷主もパートナーとして考えて貰いたいものだ。
運賃上がって収入ふえるどころか、同一労働同一賃金とやらで家族手当無くすとか言ってる会社で働いてる。終わってるよ。
賃金等上がってもドライバーには何も反映されず、儲かるのは会社と事務所の連中のみ。
事務所が仕事を見つけて来ても、走るドライバーが居なければ運送業として成り立たない。
ドライバーあっての運送会社だと俺は思うが、賃金が低すぎるんじゃないか?
配送なんてやってるヤツは馬鹿しか居ないんだからそのまま働かせれば良い
運送業を悪く言うつもりはないし絶対に必要だが、現状宅配で働いてるヤツに馬鹿しか居ないのは事実なんだから仕方がない
馬鹿しか居ないから業界が改善しないし業界がクソだから馬鹿しか入ってこない
それで満足してる馬鹿が働いてるんだからそのままで良いよ
利権、権力ある人達がこんなシステムにしてるんだからバカなのでは?現場の人達はバカではない あなたは現場の人ではないの?利権側?
どの立場から物言ってるのか興味あります。
ほんとそれ
文句言わずやってる昭和脳の馬鹿共はしねばいいよ
ガンガン訴えてブラック運送潰して。
荷主にはサービスには金がかかると言うことを教えてやればいい。
貰う運送費も、従業員へ払う給料も、国が水準を決めて決して運賃の叩き合いができないようにすればいい。
そうしないとわからないよ
職業差別とかは置いといて…人を見下す意見しか出来ない奴は競争社会で勝った奴かもな…人として1番大事な物が欠かてる優れた欠陥品と思ってるよ。
中小企業の運送会社は、ほぼブラック
長時間労働、低賃金が半端ない