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射界
2020年4月6日号 射界
2020年4月20日
矛盾。この語源は2000年前の韓非子の話に由来するのは有名だ。何でも貫く「矛」とすべてのものを防ぐ「盾」。この二つを売る商人が客から「その矛で盾をついたらどうなるのか」と聞かれたことに由来する。哲学的には「絶対矛盾の自己同一」とも言われるそうだが、だれが聞いても「おかしい」とわかる。
▲矛は古代の武具で、槍の一形態と言われている。矛を突くのは当たり前だが、「盾」を突くと「たてつく」になる。これは「親にたてつく」「先生にたてつく」「上司にたてつく」など、力のあるものや目上の者に反抗する態度を表すときに使われる。「盾にとる」となると、「あるものや人間を自分の都合のいいような材料にすること」となる。
▲「矛先を向ける」は攻撃対象をそちらに向けること。「矛を交える」は一戦交えると同義。「矛を収める」は争いごとをやめることになる。古代日本では「矛」を武器として使用していたが、次第に大型化し、祭祀用具として扱われることとなったようだ。銅矛とも銅鉾とも呼ばれている。現在でも正倉院の中には「鉾」が33本保存されているという。
▲矛も盾も武具ということで、争いごとにまつわる言葉が多い。また、「矛盾」はすでに日本語になっており、意味を知らない人の方が少ないだろう。しかし、世の中には「矛盾」としかいえないことは多い。矛盾を指摘し、たて突いたり、矛を交えるより、「そういうこともあるか」と丸く収める方法を探したい。矛盾を解決する方法はまだ見つかっていない。
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