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射界
2020年5月18日号 射界
2020年6月1日
「禍い転じて福となす」。古代中国の弁舌家・蘇秦の言葉で、「自分の意志と努力によって不幸なことを幸福に変える」という意味だが、日本では思いがけない転機に使う言葉として用いられているようだ。同じような意味で、原典は不明だが「失敗は成功の母(もと)」と言いかえることもできる。
▲日本では「雨降って地固まる」という。「ごたごたや変事の後では、前よりも自体がよく治ることのたとえ」(三省堂)という意味だ。「絶望的な状態にあって、切り抜けていく方法を探し求める。死中に生を生む」ことを「死中に活を求める」(後漢書)という。活は活路のこと。古来からピンチをどう切り抜けるかは、多くの人にとって悩みのタネだった。
▲新型コロナウイルスがパンデミックとされて、世界中の人間にとって「ピンチ」が続いている。一朝一夕にこのピンチをチャンスに変えることはできないだろうが、少しずつでも前に進むしかない。「たとえ失敗しても、そこから何らかの利益を得ようとすることだけは忘れない」ことを「転んでもただでは起きない」という。このぐらいの気持ちでいたい。
▲現在、景気が悪化してだれもが前向きな姿勢を失いかけている。ここは「呉越同舟」(孫子)の言葉にあやかりたい。「互いに敵国同士であっても、同じ舟に乗り込んで、大風にあおられれば互いの遺恨を忘れて助け合う。最後に頼みになるのは団結心だけである」。一人でダメなことでも全員が団結すれば、ピンチをチャンスに、福とすることができるはずだ。
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