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射界
2018年6月4日号 射界
2018年6月11日
江戸初期に活躍した中江藤樹は陽明学を極めた儒学者。今も語り継がれる「知行合一」を説いた思想は有名で、その流れは現代にも通じる。勉強して得た知識は、実践してこそ価値あるもので、せっかく蓄えた知識を実行しなければ意味はない…と言う。何はともあれ実行しなさいと鼓舞している。
▲知的な分析も結構であるが、ともすれば〝机上の空論〟になってしまうのが現実。リポートに卓越した考えを書き連ねても、日々の行動が平々凡々では失笑を買うだけ。文字に書き表す優れた能力の持ち主であれば、行動に移して実績を示すことで「さすが…」と評価される。「言うは易く行うは難し」では不毛のままに終わる。〝実行してこそ〟がビジネスの本質だ。
▲もちろん、中江藤樹とて知識を軽んじているわけではない。「よく知るとはよく行うことだ」と知識活用の大切も併せて強調するが、知識を豊かにしたからと言って肉体的負担になるものでもない。藤樹は「知識を蓄えるは人の道」と当然視し、「知行合一」の大切さをそこに求める。実践活動の中から会得した知識を活用することで価値は倍増するともいう。
▲そうはいっても秀でた人を求めるのは難しい。古諺に「三人寄れば文殊の知恵」とある通り、凡人同士三人で相談すれば、よい知恵が浮かぶかも知れない。文殊菩薩ほどの知識は期待できないが、それに比肩する良い知恵を得たいと願えば、良き指導者や先輩、同僚から、少しでも知恵と知識を拝借すればよい。三人寄って「下衆の下衆」に陥る愚は避けたい。
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