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ドライバー逃亡 免許取得後、借金そのままに…
2017年10月13日
「本質的に悪い人間でないと思っていたし、以前勤めていた時は、こんなことをする人ではなかった。しかし、こんなことになっては、彼の何を信じればいいのか分からない」と話すのは三重県の運送事業社長。同社には、免許取得代金のほか、生活費など合計約100万円を会社から立て替えられていたドライバーAがいた。しかし、Aは今、借金をそのままに逃亡している。
Aは同社に再就職したドライバーであるが、免許を失ったことから解雇となった経歴を持つ。しかし、社長はAの地元に立ち寄った際、Aが普通免許さえ取得できないほど困窮していると知り、免許費用の立て替えと一緒に、再就職の誘いをかけている。Aも誘いを断ることなく合宿を利用し、大型免許まで取得した。会社でもAが使用する予定の車両を1000万円で購入し、準備をしていた。しかし、免許を取得した直後、Aは書き置きを残して逃亡。書き置きには遠方のダンプ会社に就職することのほか、立て替えられた免許代を振り込むので口座番号を教えてほしいといったメッセージが、謝罪の言葉と共に記されていた。その後、社長が携帯から「あなたが最初からこうするつもりだったと考えたくないので連絡をください」などメッセージを送っているが、既読が付くだけで返事はない。電話も反応がなく、直接たずねようにも書き置きには引っ越し先の番地までしか記されておらず、アパートの部屋番号までは書いていない。
社長は、こうした事態に「こういう人間だったと思うしかないのか、もしくは向こうの会社にやらされているのか」としている。今後は弁護士に対応を相談する予定だ。社長は「事前に相談さえしてくれれば、保証人を立てて口座に振り込んでもらう形にすることもできた。しかし、こうなっては可能な選択肢の中で、厳しい対応を取ることも視野に入れなければ、一生懸命に働いてくれているほかのドライバーらに示しがつかない」とし、また「事前に一筆書けばと、しているところもあると聞くが、法律上問題点もあると聞く。しかし、ここまでのことをされながら、企業側が責めることは悪なのか」と話している。なお、会社の防犯カメラにはAが迎えに来た車に逃げるように乗り込む姿が記録されている。Aの同郷のドライバーのなかには怒りを隠せない者もいるという。
建交労愛知(和渕信春執行委員長、名古屋市中川区)の谷藤賢司書記長は、こうした免許代などを会社が肩代わりし、一定期間の就職を約束させ、返済をさせる方法について「労基法の上では大きな問題とならない。返済を迫ることができるかについては、書面で残しているかが争点となるのではないか。口約束のみでは裁判になった時など証拠としては弱い」としつつ、「労基法で問題とならなくても、労働契約法上では問題となる可能性はある」としている。
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