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シェルターを運べ!! 「ミサイル問題」で問い合わせ殺到
2017年10月20日
「初めて運ぶ荷物に大手の運送事業者も困惑して、まったく話が進まなかった」というアンカーハウジング(神奈川県川崎市)の吉山和實CEO。その荷物というのは「シェルター」だ。北朝鮮のミサイル問題が話題となって以来、アメリカのシェルターメーカーには日本からの問い合わせが殺到しているという。
吉山CEOのもとには、どんどんシェルターの注文が来ている。「たまたまシェルターの製造工場を訪れていた際、日本でミサイル騒ぎがあり、オーダーが13基入った」という。同社はアメリカからの輸入住宅販売を20年展開しており、阪神淡路大震災後、淡路島にアメリカンビレッジ30戸をトータルプロデュースした実績がある。「年間で100台ぐらいのオーダーがあるのではないか」という吉山CEO。「シェルターでは国内よりも海外の方が先を行っている。輸送については物流事業者と二人三脚でやっていきたい。輸送をお願いしたエーアイテイーは、本当にきめ細やかな輸送をしていただいて助かっている。アメリカの運送会社ではこうはいかなかった」という。同シェルターは分割されてコンパクトにしてから輸入されているといい、「ベッドやソファなどのアイテムが積み残されていないかどうか、エーアイテイーさんに確認してもらっている。細かいところまで気を使ってくれて助かっている」と説明する。
同社が輸入するシェルターは埋め込み型で、家族4人が過ごすことが可能。吉山CEOは「万一の際は最低2週間やり過ごす必要があり、床下に備蓄でき、空気清浄機も付いているので、安全に過ごしていただける」と話す。同社では「普段はワイン倉庫などの趣味の部屋やゲストルームにもお使いいただける。日本ではまだまだ馴染みのないシェルターだが、アメリカなどでは普通に防災用の地下室やパニックルームが用意されている」という。「自分の身は自分たちで守るという文化は日本とは少し違うかもしれないが、これからは安全と言われた日本でも必要になってくる」と指摘する。
同社では、シェルター購入者には防毒マスクや水のろ過装置などの販売も行う予定という。
今回、アンカーハウジングから輸送の依頼を受けたエーアイテイー(大阪市中央区)では、「6月下旬に吉山CEOから依頼をいただいた。『どこも腰が重い』ということをお聞きし、受けさせていただいた。当社としてもシェルターの輸送は経験がなかったが、お話をお聞きして『面白いですね。ぜひやりましょう』ということになった」という。
すぐに、北米・ロサンゼルスの担当者に連絡。現地では吉山CEOと同行してシッパー(輸出者)と協議に入った。「シッパー自身もシェルターを日本に輸出するのは初めてで、書類作成などの段取りについてケアさせていただいた。当初、出荷地がロサンゼルスだったのだが、テキサスに変更。積み荷について、ベッドやソファなどがきちんとそろえられているか確認する必要があったので、当社の担当者がテキサスまで確認に行かせていただいた」と話す。同社がきちんと梱包されたことを確認後、日本に向けて出荷されたという。
吉山CEOからも「ありがとう」という言葉をもらったという同社。経験のなかったシェルター輸送に踏み切った経緯を、「まずは北米航路の拡充という狙いがあった」。それだけではなく、「他社が二の足を踏んでいる仕事をやりたいという気持ちも強くあった」と同社。「必要なものだから、絶対に誰かが運ばなくてはいけない。リスクがあるとは考えなかった」「今後はどれだけ効率的に輸送できるかがカギになるだろう」と同社。現在では一度の輸送でシェルターを2基までしか運べないが、これを効率化することが課題という。
同社は中国を中心としたアジアからの輸入をメインに事業を展開していたが、新たに北米を基点とした国際輸送サービスを提供し、拡充を図るため、昨年8月にアメリカ・ロサンゼルスに現地法人を設立した。
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