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配車業務は人? システム? 今後どうなる…
2017年12月1日
運送事業者にとって要となる配車業務。配車担当者は、高度な知識や経験が必要とされ、誰でも簡単に実施できる業務ではない。そうしたなか、経験者でなくても簡単に配車ができるソフトが開発され、それらの「配車管理システム」への期待は大きい。人手不足や労働時間の問題などがあるなか、運送事業者では配車業務を今後どのように行っていくのか、配車係の育成や「配車システム」に対する考えを聞いてみた。
東京(本社)と茨城を拠点に物流サービスを行っている東立運輸(市原英司社長、東京都足立区)は、それぞれの拠点に配車係を2人置いている。同社にとって配車係とは、「配車業務を行うほかに、ドライバーと経営者のつなぎ役としての重要な役割もあると考えている」と市原弘司専務はいう。こうした業務は現状、経験を積んだ人間でなければ対応できないとし、同社では配車係の補助員が配車係の育成を担当する体制作りを進めている。市原専務は「配車係の補助員は女性がやっている」としながら、「配車係は男女関係なく、能力を発揮することができる人を育てていく」という。配車システムに関しては「機械でできるなら、本音としては使いたい」としながらも、「配車係の補助という部分では使えるとは思うが、求めている内容から現状は人を重視している」としている。配車係の育成に力を入れているカントラ(荒川正洋社長、埼玉県上尾市)は現在、育成中の配車係1人と補助員1人を中心に配車を行っている。荒川社長は「配車管理システムを使うにしても、人が関わらなければならない」とし、「人手不足で使えるなら使いたいが、現状は配車係が判断して組む方が結果的にうまくいく」という。同社には社員16人とパートとアルバイト30人が所属している。そのうち10人が運行管理者資格を持っている。「うちではやる気のある者に運行管理の試験を受けさせている」として、「そのなかから配車係になりたい者は配車係を目指してもらえれば」と考えている。それぞれの仕事内容で違いはあるが、「ドライバーが困っている時に、しっかりと応えることも重要な配車業務」として、経験がなければ処理できない部分も大きい。
同じく、「配車システムを導入する予定はない」というアベサービス(阿部薫社長、同川越市)。同社の配送係は、大場功紀部長が1人で行い、阿部竜也業務部長が補助についている。配車管理システムについて大場部長は「使えないとは思っていない」としながらも、「ドライバーの向き不向きや体調なども考慮しなければならないため、経験則が重要となる」と考えている。ドライバーの情報や自身の経験に基づいて配車を組む方が効率的にも良いということだ。しかし、配車係が1人であることは、会社にとって、その分リスクにもなるため、人員の増加が大きな課題となる。配車係の育成については人手不足の状況が大きな壁となっているが「経験とコミュニケーション能力が重要」と考えている同社では、ドライバー経験者を配車係に育てていく方針を貫く考えだ。
「配車の情報がAIを通じて予測してくれるようになれば導入したい」と考えている美喜運輸(東京都西多摩郡)の比留間文明社長。同社では、社長を含む3人体制で配車を行っている。「弊社は現状、アナログ的な配車で対応できている」とし、「仕事内容によっては、いろいろと変えていかなければならないが、ドライバーの経験値とコミュニケーション能力は配車をする上で最も重要」と考えている。「私どもの仕事は、大半が荷待ち時間の問題や突発的な条件変更などに対応しなければならないため、経験則に基づいた配車に頼らざるを得ない」として、ドライバー経験のある配車係の育成に力を入れている。
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