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ブログ・小山 雅敬
第168回:「平成」のうちにやっておくべき経営改善とは
2019年10月29日
【質問】わが社は今年が創業20年目にあたり、2019年を飛躍の年にするため、「平成」のうちに改善できることから始めようと考えています。今から4月までの短期間に取り組むべきことがありましたら教えてください。
「平成」も残り数か月となりました。運送業は今、未曽有の人手不足で多くの会社が人材確保に四苦八苦していますが、他方、「平成」の前半から長年苦しんだ荷不足や運賃引き下げの話題はなくなりました。
運送業の経営環境は大きく変化しています。今後はAIの急速な発達により物流システムの大変革は必至です。また、働き方改革を契機に従業員の意識が大きく変化し、労務管理はますます難しくなります。近い将来、自動運転や自動倉庫が当たり前の時代になったとき、運送会社は何を強みとして存在価値を示し、何をよりどころにして勝ち残るのかを頭の片隅で考えておくことが大事です。今より、さらに混沌とした経営環境になることを覚悟する必要があります。今年はその覚悟を決めた上で、会社の見直しに本格的に着手する年にしましょう。
平成のうちに何をやり遂げるのか。期限を決めて実行することは大事です。運送業の浮き沈みを数多く見てきた経験から一つアドバイスするなら、まずは「会社経営の基本に立ち戻った体制固め」を推奨します。運送会社の中には、経営の土台が整備されないままに経営規模だけ拡大した会社が多く存在します。経営規模と経営の安定感が一致していない会社です。不安定感を放置していると、たった一度の問題で経営が大きく揺らぐことになります。今までに多くの失敗例を見てきました。
3か月程度の短期で実行が可能であり、次年度に向けて安定感の向上につながるのは次の3つの対策です。
①経営方針・経営計画の策定…難しい表現は一切不要。社長の思いを文字にして全社員に伝えましょう。経営計画も詳細なものを作る必要はありません。大項目だけで結構です。今後5年程度の目標数字、何にチャレンジし、会社は何を強みにするのか、会社の将来像を考えてみましょう。②組織の明確化…人が育たない部門は早く手直しすべきです。過去の組織を見直し、責任と権限を明確にして管理者を育てましょう。やる気がでる組織で再スタートを目指しましょう。③社内ルールの明確化…社内の規則があいまいで、労務トラブルが絶えない会社に未来はありません。規定類や賃金、教育などの制度を整備しましょう。優先順位をつけて早めに着手することが大事です。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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