-
ブログ・高橋 聡
第276回:令和時代の運送業経営 管理職編(74)
2024年11月15日
【監査・調査対応編】 74
「頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今号は公的機関への対応という観点で公共職業安定所(ハローワーク)への対応について解説します。
1.特定受給資格者と特定理由離職について
特定受給資格者とは、倒産・解雇等の理由により離職を余儀なくされた者を言います。解雇等には「自己の責めに帰すべき重大な理由で解雇された場合」は除かれます。なお、「離職の直前6か月間のうちに3月連続して45時間等の時間外労働が行われた場合」が含まれるので運送業の場合は該当する可能性が高いでしょう(業種特性の例外がない基準には疑問があります)。
特定理由離職とは、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(本人は更新を希望したが合意が成立しなかった場合に限る)を言います。
特定受給資格者および、特定理由離職者に該当した場合、失業手当の受給資格要件や給付日数などの面で、給付の内容が手厚くなります。
2.該当の判断
該当の判断は公共職業安定所または地方運輸局が行い、 離職理由の判定は、事業主が主張する離職理由を離職証明書の離職理由欄により把握した後、 離職者が主張する離職理由を離職票︱2の離職理由欄により把握することによって、両者の主張を把握し、それぞれの主張を確認できる資料による事実確認を行ったうえで、最終的に安定所等において慎重に行うため、事業主または離職者の主張のみで判定するものではない、とされています。3.実務上の留意点
特定受給資格者等に該当する場合は待機期間が7日間となり給付日数も優遇されることがあるため、ドライバーが退職する際に特定受給資格者であることを主張するケースが多いです。要件等は詳細に規定されており、前記の通り事業主と退職者双方の主張を確認し、ハローワークで判断されることとされているので、事実関係を報告・主張していくこととなります。例えば、同僚と喧嘩した、事故を何度も発生させた、荷主から出入り禁止を通告された等、トラブルをおこして退職する場合、一般的には「自己都合退職」となりますが、「3か月連続45時間超の残業」に該当している場合は問題社員であっても特定受給資格者になる場合があるので留意が必要です。
中小運送業において45時間の時間外労働は大半の会社が該当することとなってしまいます。関連記事
-
-
-
-
筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
「ブログ・高橋 聡」の 月別記事一覧
-
「ブログ・高橋 聡」の新着記事
-
物流メルマガ