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    日本版SOX法 物流業界、中小にも影響は大

    2007年2月6日

     
     
     

     経済紙誌を賑わせている「日本版SOX法」の実施基準が固まり、これで、08年4月からの導入に向け、各社が具体的に取り組みを始めなければならない段階にいよいよ突入している。
     同法の適用範囲は「上場企業とその連結対象子会社」であるため、中小の物流企業の担当者は「我関せず」というのが本音かもしれない。
     しかし、同法に詳しいイーソーコ総合研究所の主席コンサルタント・花房陵氏(写真)は「物流業界に大きな影響を与えるもので、実際、その動きはすでに始まっている」と警鐘を鳴らす。


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     同法では企業に「内部統制」が義務づけられ、企業内部のあらゆるルールを明らかにし、監査法人などの第三者に対して説明することが求められる。
     明らかにすべき項目には当然、業務委託先との契約内容も含まれる。従って「同法の対象企業と取引している事業者に対し、監査人が対面調査を行なうこともありうるはず」(花房氏)という。
     いわゆる「協力会社」がこれに該当するが、その数は「5〜6万社とも言われている」。
     
     調査時にしっかりとした説明ができないと、「監査人から上場企業(荷主)に対し、『こんな会社とつきあっていて大丈夫か』と指摘が入る。リスクを避けたい荷主企業は、内部統制に対応できる他の大手物流事業者へと取引先を変更するだろう」と同氏は警告する。
     「監査人が『間に3PL企業を入れれば安心なのでは』とアドバイスする可能性もある」とも。実際に物流業界内では、「同法に対応できる」ことをアピールする営業合戦がすでに繰り広げられつつあるという。
     では、物流事業者は具体的に何をすべきなのか。同氏は「まず明らかにすべきは『売上』『経費』『棚卸し』の数値」と説明する。
     同法は財務報告を義務づけるものであり、粉飾決算を防ぐ目的を持つ。「『どんな仕事でも受けます』などと、契約書も作らず仕事を受けている企業は、早急に改めるべき」。業界特有の「なあなあ」の関係こそ一番危険なパターンだと言える。
     また、同法では「金銭の出入りに関わる業務フローを全て文書化しなければならない」が、荷主企業にとって、物流に関する業務の多くがその流れに位置付けられている。
     ここで物流事業者に求められるのが「『業務記述書』『作業のフローチャート』『リスクコントロールマトリクス(RCM)』の3つ」だという。この中でRCMとは、業務プロセス内に潜むリスクとその対策を整理したもの。この3つを作成するためには、普段の業務フローを大幅に見直す必要が生じる。
     08年3月からの施行に向け、大手上場企業からも「準備の時間が足りない」との声が挙がっているという。ましてや中小の事業者にとって、容易な取り組みではないだろう。
     しかし「我関せず」を決め込んで対策をとらなければ、ある日突然取引先を失うリスクが生じる。逆に言えば、早急に取り組むことで、新規取引先獲得につなげることも充分可能ということだ。
     同氏は「『知らなかったから損をした』という状況を避けるためにも、いち早く取り組むべき」と強調。そして、「コンプライアンスが叫ばれる中、『コストダウン』だけでこれからの時代を生き抜くのは難しい」とし、「(SOX法に限らず)法律への意識を高めることが重要」と呼びかける。
                                (07/2/6)

     
     
     
     
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