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「いまどきの若者は…」 困り果てた運送会社社長
2011年3月29日
「いまどきの若者は」という嘆きは、いつの時代にも聞かれる言葉。しかし、どうも最近の若者は以前の若者とはまったく違ってきていると感じる事業者が多い。単に「いまどきの若者は」という言葉で片付けられればいいのだが、「事態は深刻」との声もある。
埼玉県の事業者は、「いまどきの若いドライバーは何を考えているか、さっぱり分からない」とこぼす。同社には20代前半の若いドライバーが数人いるが、その扱いに困り果てているという。同社長によると、「言われたことはやるが、それ以外のことはまったくやらない」という。例えば、2台で一緒に積み込みや荷下ろしに行った際、自分のトラックの作業が終わればそれで終わりで、もう一方のドライバーが作業していても手伝うことをしないという。
「一緒に仕事をしているなら、手伝うのが当たり前だと思うのだが、そういったことまで教えないといけない」という同社長は、「若い子すべてとは言わないが、そういう気が付かない、あるいは気が利かない子が多い」と嘆く。
さらに、同社長によると、交通事情や荷主の都合などによって、労働時間がどうしても長くなることがあるが、「仕事を見ればそんなことは当たり前だと理解できるはずだが、それが分からず、条件と違うと平気で文句を言ってくる」という。自分で文句を言ってくるならまだしも、親が電話でクレームをつけてくるケースもある。
「とにかく何を考えているのか理解できない」と話す同社長は、「まるで別世界にいる宇宙人だ」という。そのため、同社では、「30代以上で妻子を持っている人を積極採用している」としている。
一方、千葉県の事業者も、「いまの若い子には、やるぞという覇気のある子が少なくなった」と指摘する。「私らの時代は、これだけ稼いでやる、いい車に乗ってやるというような夢があり、それに向かってまっすぐに突き進んでいけた」と振り返る。「いまどきの子は夢がないから覇気がない」という同社長は、「給料が安くても文句も言わないし、それ以上稼ごうという姿勢もみえない」のだという。
トラック業界は、労働時間管理が厳しくなるなど、コンプライアンスの徹底が求められるようになってきている。こうした環境のせいもあるのだと同社長は指摘した上で、「運送会社としての魅力も、ドライバーという職業の魅力もどんどん失われていく」という。
「このままでは若者がどんどん活力を失い、無気力になっていく」という同社長は、「業界はますます、活力を失っていくのではないか」と危惧している。社会環境の変化によって、若者の意識は明らかに変化を見せている。ただ、いつの時代もそう指摘されてきている。
今回のような指摘もただ、「いまどきの若者は」というジェネレーションギャップで済ませればいいのだが…。労働力の低下が心配される。(高田直樹)
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