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大手荷主の横暴に怒り この時期に…運賃1割カット
2011年4月28日
今から十数年前のバブル経済崩壊時は、大型トラックの運賃が東京―大阪間で6万円台といわれたが、燃料価格も70円台であったため、中小・零細の運送事業者は景気低迷であっても事業は継続できた。しかし、リーマン・ショック以降の世界的大不況で、燃料、車両、タイヤ、人件費が高騰しているにもかかわらず、大型の4軸低床車であっても群馬―大阪間の運賃が7万円と低迷。さらに、今年4月から大手元請け事業者は理由もなく1割削減の6万3000円に運賃を値下げするなど、日本全体が落ち込んでいる状態であっても卑劣に運賃をダウンさせる大手企業もあるようだ。
大阪府泉大津市で約30台の大型トラックを保有し、全国に紙オムツや生理用品などを輸送する運送会社は、東日本大震災の影響などで車両が足りないほど忙しく全国を駆け回っている。出発時は自社荷主の荷物を積み、帰りは大手物流会社からの荷物を確保している状態だ。震災以前も同社は関東や東北方面への輸送を行っていることから、関東などから大阪に帰る場合は、必ずと言っていいほど決まった大手物流会社から荷物をもらっていた。帰り荷であることから、これまで景気が悪くても荷物は確保されているため、群馬―大阪間で運賃は7万円と、安いながらも引き受けていた。
しかし、4月に入って、くわしい理由説明もないまま、いきなり1割カットの6万3000円に運賃が下げられたという。同社は値下げされたことに対して、大手物流会社と交渉しようとしたが、「この運賃で出来ないなら仕事は確保できない」との話だった。毎回、荷物を確保してもらっている弱みから、仕方なく運賃1割カットでの輸送を引き受けた。
同社社長は「自分の力のなさに怒りを覚えている。関東からの帰り荷をもらっている立場上、この仕事がなくなれば、震災の影響で新たな荷物の確保は困難。1割カットでも仕事を受けるしかない」と話し、「震災以前なら他の物流会社でも荷物は確保できただろうが、今は東日本の企業が正常に稼働しない限り、運賃値下げは悔しいが従うしかない」と、大手の横暴に怒りを隠せない様子だった。
本来なら、運賃交渉で例え5%でも値上げを求めたいところだが、逆に10%の運賃値下げを要求してきた大手物流事業者。同社は今後、復興に伴い日本経済が回復し、中小運送事業者の立場が、より強くなるよう祈っている。(佐藤弘行)
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