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    ドライバーにがっかり 事故の責任感「ゼロ」

    2011年5月17日

     
     
     

    truck3_0516.jpg 1年半に3度の事故を起こしたドライバーだが、勤務態度も悪くなかったため、免責分の弁済という処分で済ませてやろうとした千葉県内の事業者。しかし、そんな温情も伝わらず、事故相手との示談が成立する以前に、そのドライバーは辞めていった。揚げ句には、給料未払いを労基署へ訴える始末。同社社長は、責任感のなさに呆れるが、さらに恩をあだで返す姿勢に、「情けなさとともに、やるせなさを感じる」と話し、「アットホームな雰囲気をめざす中小企業であっても、会社を守るためには、ルールで縛ることも仕方がない」とこぼしている。



     同社に勤務する30代後半のドライバーは、1年半の間に3回の交通事故を発生させた。いずれも、同社が加害者となる事故だったという。幸いにも、どの事故も大事故ではなかったが、一方で保険を適用せざるを得ない事故でもあった。

     同社では、1回目の事故では、ドライバーへ弁済を求めない。注意だけで済ませている。当然、そのドライバーも注意のみで済んでいる。しかし、それから間もなく2回目の事故を起こす。2回目は免責分を弁済させた。無事故手当をカットし、それを免責分5万円に充当させるという方法で弁済させた。

     そして、今年に入って3回目の事故を起こした。大事故にならなかったものの、正面衝突で自社のトラックも全損となる事故。相手の車も全損だが、怪我はなく、軽いムチ打ちで済んだ。

     免責を10万円に引き上げていた同社は、ドライバーに免責分の弁済として、10万円の弁済を求めた。さらに、そのドライバーが発生させた事故によって、保険料が増額になるため、全体会議を開くとともに、ドライバーに事故状況の報告を命じたという。

     ただ、そのドライバーは勤務態度も決して悪くはなく、事故を起こす以外は素行に問題がなかった。そのため、同社長も立て続けに事故を発生させたドライバーではあったものの、職場環境も変えずにそのまま雇用を続ける方向で進めていた。

     しかし突然、ドライバーが辞表を出してきたのだ。まだ、相手との示談も成立していない中でのことだった。辞めて責任を取るという態度でもなく、自分勝手に一方的に辞めるという姿勢に、「自分がどれだけ会社に迷惑を掛けているか分からないのかと、思わず言いたかったが、言ってもむだ」と考えた同社長は自らの思いを割り切り、免責分の弁済以外のことは求めず、退職を認めた。

     給料の手渡しが基本の同社は、そのドライバーの給料も、その日に準備し、取りに来るのを待った。しかし結局、取りに来なかった。

     数日後、労基署から連絡が入る。給料の未払いを指摘されたのだ。労基署に駆けつけた同社長は、状況を説明し、その場で未払いがないことを説明した。「トラックを使っている以上、事故が発生してしまうことは仕方がない」と話す同社長は、「すべてをドライバーのせいにするつもりもない」という。しかし、「事故を起こしたことに対する責任感は持って欲しい」とし、「ドライバーにどこまで求めるかという問題もあるが、自分のケツも拭けないドライバーが会社にいることに憤りを感じる」とこぼす同社長。「アットホームな会社を目指すことに逆行するかもしれないが、ドライバーを管理するルールの徹底は、会社を守る上である程度仕方ないのかもしれない」と話している。(高田直樹)

     
     
     
     
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