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プロ意識ない運転者 消えた責任感
2011年9月6日
「物を壊せば弁償する」「失敗をすれば、それを取り戻すために頑張る」。いずれも、常識として当たり前の行為。しかし、トラック業界の現場では、こうした常識が通用しない。自分の権利ばかりを主張して、義務を負わないドライバーの存在に頭を抱える事業者が少なくない。埼玉県の事業者は、事故を起こしたドライバーの理不尽な対応に泣かされている。
同社に入社して7か月というドライバーが交通事故を起こした。幸いにも人身事故ではなかったが、車両は大きく傷ついた。ドライバーが交通事故を起こした場合、そのドライバーに免責分の負担を求める決まりになっている。これは、採用前の面接時にすべて説明している。ただ、事故状況などで例外も設けており、場合によってはドライバーに負担させないこともある。そのドライバーから事故について話を聞いたという同社長は、その姿勢にあっけにとられた。事故は明らかにドライバーの不注意が原因だったにもかかわらず、反省の色は見えず、むしろ弁済のことばかりを気にしていた。
「まずは、事故を起こして会社に迷惑をかけているのだから謝るのが筋だろう」と説いた社長の言葉に、ようやく謝ったが、すぐに出るのは免責分の支払いの件。しかも、その支払いについては拒絶を続けた。
「自分が悪いことをしたという感覚がないようで、最後は開き直ってきた」という。結局、ドライバーが辞めることで落ち着いたが、同社に残ったのはコスト増という大きなお荷物。事故で保険を使用したことで、次回の保険料率が上がることが決定的となり、さらに自社トラックの修理も同社が負担せざるを得なかった。「とんだ土産を置いていってくれたものだよ」と嘆いている。
「辞めることが責任を取ることだと思っているが、無責任極まりない。だれでも間違いはあるので、事故を起こしてしまうのは仕方がない」とした上で、「その後の姿勢が大切なのに」という。「我々の頃は、自分が失敗したら、それを挽回しようと必死に働いた。その姿勢が見えれば、やみくもに弁済を求めたりしない」。
「残業代はもらえるのか、労働時間を守ってくれるのかと権利ばかり主張するくせに、いざ自分が不利になると逃げる。そんなドライバーが増えすぎた」とも指摘。「このままでは、おちおち新しい人材を採用できない」とこぼす。
「責任感という言葉は、そのうち死語になりかねないよ」と苦笑いするが、果たして、いまのドライバーは責任感を失ってきているのだろうか。(高田直樹)
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