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    国際コンテナ法案 成立の見通し立たず

    2011年9月22日

     
     
     

     国際コンテナ法案(国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送の安全確保に関する法律案)の成案見通しが立たない状況となってきた。今臨時国会での成立を望む声も強いが、4日からわずか2週間ばかり延長された会期では3次補正関連法案が優先され、審議される可能性はほぼゼロ。さらに法案の提出自体「検討中」のままで、一向に動く気配はない。日本経団連をはじめ荷主団体の反発を受け、民主党内部にも慎重論が高まりつつある。



     全日本港湾労組(全港湾)などは「安全輸送確立に向けた重要法案だけに非常に残念だ。来春の通常国会での成立を目指し、与党を中心に国会議員に働きかけるなど努力したい」と話している。

     法案は昨年3月5日に閣議決定。国交省も港湾行政の目玉として大々的にPRしていた。同10月1日から開かれた臨時国会での成立が期待されたが、「審議未了」で廃案。今年1月25日、全ト協海上コンテナ部会の藤木幸二部会長(藤木陸運)は民主党陳情要請対応本部副本部長の中川治衆議院議員に、当時の菅直人総理大臣、大畠章宏国交大臣、岡田克也幹事長宛の「要望書」を提出。廃案となった法案を2月から開始の通常国会で「成立させる」よう強く要請した。2月21日には津川祥吾国交大臣政務官にも要望書を出している。

     ところが、通常国会では提出予定法案に含まれず、「検討中」とされたまま閉会。大震災の影響も否めないが、現在も「検討中」で全く動く気配はない。超党派、議員立法でスピーディーにまとまった交付金法案と対照的だ。

     前原(誠司)元国交大臣の時、鳴り物入りでPRされた法案がトーンダウンし始めたのは、「荷主側の反発による部分が大きい」と指摘される。日本経団連は昨年、法案の閣議決定に先立ち、2月16日付で提言を発表。「安全確保は最優先」とした上で、「法案は世界に類例を見ないものであり、運用によっては食料品、衣類をはじめとするコンテナ貨物が港に滞留し、国民生活に甚大な影響を及ぼす」「情報伝達の義務化と罰則規定は安全確保につながらない」と主張、導入を見送るよう求めた。

     このスタンスは現在も変わらず、その後も産業政策本部を中心に政府・与党に働きかけていると見られる。海コントレーラによる事故防止のため、トラック業界では事業者側、労働側ともに一致して法案成立を目指すが、「荷主がこれほど反対するとは思わなかった」と、ある海コン事業者は嘆く。国交省の担当官も「法案としては『格下げ』されている」と明かす。

     10月4日には「国際海上コンテナトレーラに係る事故防止対策推進事業検討会」(永井正夫座長、東京農工大学教授)が開かれる。昨年立ち上げ、座長もいなかったものをリニューアルしての初会合だ。メンバーも全ト協、全港湾、国交省、警察庁、自工会のほか、新たに日本港運協会、日本船主協会が加わる。検討会では海コンの「偏荷重の発見手法」がテーマになるが、全港湾では「日港協や船協にも法の重要性を認識してもらい、海コン輸送の川上から川下までの意識改革につなげたい」としている。(土居忠幸)

     
     
     
     
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