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情報開示と事故防止「因果関係ない」 国際コンテナ法案に猛反対
2011年11月4日
国際コンテナ法案(国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送の安全確保に関する法律案)が昨年末、「審議未了」で廃案となり、その後は国会で取り上げられることもなくなった。民主党が港湾行政改革の目玉として大々的にPRした同法案が「お蔵入り」しそうなムードだ。背景には日本経団連をはじめとする多くの経済・産業界の猛反対がある。「コンテナ情報の開示・伝達が事故防止に結び付くとは考えられない」「受け荷主に対する罰則はサプライチェーン(SC)の部分最適であり全体最適ではない。末端のユーザーなど弱者にシワ寄せがいく」が主な理由だ。
国際コンテナ法案について、海コン輸送業界では事業者側も労働側も「トレーラ横転など事故防止に直結する重要な安全対策であり、国民の生命・財産を守る必要不可欠な法律」と強調。一致して成立を求めている。これに賛同する民主党の国会議員も多いが、日本経団連などの猛反発が続いており、「政治的判断」を優先する政府は一転して慎重姿勢を示している。日本経団連に反対の理由を聞くと、「昨年2月に発表した『提言』の通りで現在も主張は同じ」という。さらに「われわれは決して荷主団体ではない。物流関係の企業も団体も加盟しており、いわば日本の産業界を代表する組織。産業界全体が反対していると考えてほしい」と付け加えた。
反対の具体的な説明を求めると、「経団連として話すと誤解を受けやすい」として、会員で国際海コンを多く扱う某大手企業を紹介された。その担当者との質疑応答は次の通り。
――安全輸送を目指す法案の、どこがいけないのか
「安全確保は絶対大事で最優先されるべき。だがコンテナ情報の開示・伝達で安全確保ができるという確証がない。国も科学的な分析、実証実験などを行っていない」
――国際物流が大混乱するとは
「コンテナ内部の情報は結局、港のコンテナヤードで開けて見なければ分からない。『X線があるじゃないか』『ガントリークレーンで偏荷重が分かるはず』との意見もあるが、限界がある。年間1500万本が出入りする国際海コンを1本1本開けるのは無理。東京港などでは大混雑にさらに拍車が掛かる。港湾の国際競争力強化という目的とコンテナ情報の伝達は両立しない。また、先ほど話した通り、『開ければ解決する』なら徹底的にやる。しかし、事故と情報伝達の因果関係が曖昧な状態で受け入れることはできない」
――急増する中国からの輸入コンテナなどで偏った積み方、劣悪な積み付けも見られ、「横転事故の一因」との指摘もあるが
「日本の荷主企業の多くは、生産からエンドユーザーに至るサプライチェーンに涙ぐましいほど細心の注意を払っている。もちろん輸送途中の事故などあってはならない。中国コンテナの事例は聞いているが、それを扱う受け荷主、そのような材料を使う会社は悪いが、それなりの会社ではないか。レアケースだろう」
――最高「1年以下の懲役若しくは150万円以下の罰金」から最低「30万円以下の罰金」まで罰則規定が盛り込まれたことに不満があるとか
「法案は結局、安全確保につながるかどうか判明してないのに、情報の開示・伝達義務を課した。そして、さらに罰則規定という。先走り過ぎている。荷主と物流事業者を対立構造だけで論じるのもおかしい。海コンを積む、運ぶというサプライチェーンの部分最適だけの議論で、全体最適が考慮されていない。罰金が適用されれば消費者などエンドユーザーや弱者にシワ寄せがいくだけだろう」
日本経団連は「提言」提出後の通常国会、その後の臨時国会の会期中も「説明」と称して、政府、民主党幹部に反対を訴え続けている。(土居忠幸)
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