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過積載で逮捕され会社解散 「不当逮捕だ」と元社長
2011年12月22日
「これは明らかに別件逮捕だ」。こう語気を荒げるのは、愛知県犬山市で産業廃棄物の収集運搬業を手がけていた運送会社社長。同社は昨年末、過積載によって静岡県警高速道路交通警察隊に検挙され、家宅捜索を経て7月に社長はじめ4人が逮捕されるという事態を迎えた。だが、結果的には2人が起訴猶予処分、ドライバーと社長は略式起訴による罰金刑という内容に、「何か別の思惑があったのは明らかだ」と社長は不信感を示す。しかし同隊では、「法にのっとって粛々と進めた結果だ」とし、過積載に対しては今後も厳正に対処する姿勢を示している。
同社のドライバーが検挙されたのは昨年12月。ダンプカーで産業廃棄物を積み、神奈川県から愛知県に向けて東名高速道を走行中、静岡県内で県警高速隊に呼び止められた。重量計に乗ると最大積載量に対し10割オーバーの過積載だった。「少々の過積載は黙認していたが10割オーバーと知って驚いた。すぐにその荷主の仕事を断った」と話す同社社長。「ドライバーに対する何らかの処分はあると思った」という。
ドライバーは30日の免許停止処分となったが、それから4か月後の4月、突然、同社に10人の捜査員が訪れ強制捜査が行われた。そして7月20日の早朝、社長および専務、運行管理者、ドライバーの4人が逮捕された。社長の逮捕容疑は過積載容認のほか市街化調整区域内での営業、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)違反の3項目。
過去に過積載で取り締まりを受けたこともなく、事故もなかったため、弁護士に相談しても「たった一度の違反で逮捕はまずない」と言われていただけに、4人の逮捕は同社にとって想定外だった。過積載の黙認容疑は当初から認めていたが、社長と専務は延長も含め22日間の拘置。運行管理者は18日間、ドライバーは16日間それぞれ拘置された。
結果、専務と運行管理者は起訴猶予処分、ドライバーは罰金7万円、社長は同30万円のそれぞれ略式起訴処分となった。その際、起訴内容から廃掃法の文言が消えていた。
「まさに大山鳴動してネズミ一匹。過積載で4人も逮捕するのはおかしい。おそらく不法投棄をしていると思い込んで逮捕したのだろう」と推測する同社長。逮捕後、仕事が激減し同社を解散した。
今回の件で同隊に話を聞くと、「家宅捜索で押収した資料の中で、過積載が数年前から常習的に行われていた事実が判明した。4人を逮捕したのは、当事者だけでなく背後責任を追及しなければ過積載はなくならないと判断したからだ」(大原輝夫企画隊長補佐)と理由を説明。(廃掃法違反など)別件容疑を視野に入れた逮捕ではなかったと断言する。結果的に2人が起訴猶予、2人が略式起訴という処分となったことには、「検察や裁判所が判断することなので分からない」と述べるにとどまった。
最後に「過積載はタイヤのバーストやボルトが折れるなど非常に危険な行為。3年前には大型トラックのタイヤが外れて反対車線の観光バスに衝突、バス運転者が死亡するという事故もあった。事故が起きてからでは遅いので今後も厳しく対処していく」との姿勢を示した。 (加藤 崇)
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