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    償却制導入で運転者に変化 意識の違い仕事に表れ

    2012年2月29日

     
     
     

    truck3_0227.jpg 労働時間の超過が労基署の知るところとなれば、たちまち運輸局に通報が入り監査が実施され、行政処分を受ける。そのため、労働時間の改善に取り組む事業者は多い。しかし、当然のことながら労働時間を守れば守るほど、生産性は低くなる。さらに、労働時間の順守によってドライバーにも異変が起きてきた。首都圏の事業者は、「労働時間を守れば良いドライバーを失ってしまう」というジレンマに悩まされている。



     同社は大型をメーンに地場から長距離もこなしている。定期的に行われる適正化の巡回指導で、労働時間超過を指摘されたことから改善に乗り出した。それまで仕事をドライバー個人に委ねるという形を取ってきており、労働時間もドライバーそれぞれが管理していた。そのため、ほとんどのドライバーが労働時間を守れていなかったのだ。この勤務形態を改善しなければならなかった。

     まず、配車を組む際に、労働時間が超過しないように組まなければならない。今までのようにドライバー自身で決められず、おまけに稼げなくなった。その結果、辞めていくドライバーも出てきたという。会社を守るために仕方がないと意を決した社長だったが、どうしても辞めて欲しくないドライバーが数人いた。労働時間を守っていたら稼げないと言うそのドライバーらは、同社では働けないと相談してきた。

     悩んだ末に償却ドライバーとして雇用を続けることにした。仕事に関して、すべてをドライバーに委ねる償却制によって、労働時間超過は避けられない。社長は腹をくくった。特例として数人のドライバーを償却制としたものの、基本的に労働時間の順守の徹底を図っていった。その結果、ドライバーの質は明らかに変わってきたという。労働時間を守る正社員ドライバーは、まさにサラリーマンドライバーだと社長は指摘する。「会社の指示には従うが、それ以外のことはしない。おまけに、コスト意識も低く、アイドリング・ストップの励行なども会社がうるさく言わなければ守らない」とこぼす。

     一方、償却ドライバーは「自分の生活は自分で守るという意識が徹底されており、仕事に対する責任感も強く、コスト意識も非常に高い」。夏場の暑い時期にも、社員ドライバーがエアコンをつけて待機している一方で、償却ドライバーはアイドリングをせずに待機している。仕事のスピードや手際のよさもまったく違うのだという。

     「自分で働いているという感覚と、働かされているという感覚の違いか。法令順守は当然だが、何か違う気がする」と本音を漏らす。労基署の知るところとなれば当然、労働時間超過を指摘され、さらに通報から運輸局の監査も免れない。それでも「会社を支えてくれているのは償却ドライバーたちだ」と法令違反を犯さなければならない現状に悩みながらも、償却ドライバーの雇用を続けていくとしている。(高田直樹)

     
     
     
     
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