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忍び寄る薬物依存 ヘンと感じたらすぐ連絡
2012年3月1日
「どんな職業にも関係なく、薬物は入り込んでくる」と注意を訴えるのは、警視庁組織対策第五課(薬物対策)の元担当官。同氏は東ト協世田谷支部の交通安全総決起大会で、「最初に薬物に手を出すのは、ほとんどが好奇心から。人間には色んな欲があり、その一つの快楽を追求していく先には薬物がある」と警鐘を鳴らす。「思いがけない人間が手を出している可能性もある。周囲から見ても、分からない場合も多い」という。常習者にはどのような兆候があるのだろうか。
「薬物と言ってもいろいろある。例えば、覚せい剤を使用していた場合、日常の生活が不規則となり、会社を休みがちになる」と、関東信越厚生局麻薬取締部。しかし、「時間にルーズになると言っても、個人差もあり、分からないことも多い。周囲の目から見て『ヘン』と感じたなら、すぐに関係各所に連絡すべき」という。世田谷支部で講演した元担当官も「常用者は時間を守ることができない。整理整頓もできない」と指摘している。「アルコールも薬物の一種と考えている」という薬物問題を扱う特定非営利活動法人ASKでは、「職場のアルコール対策ハンドブック」を発行している。同ハンドブックによると、「遅刻や早退、不意の欠勤が多い」「検診のたびに肝臓のデータをマークされる(薬物も肝臓に異常をもたらす)」「不注意の事故をちょくちょく起こす」「飲酒運転をしていると思われる人がいる」などを兆候として挙げている。
「一度、薬物にはまってしまうとなかなか抜け出せない。10年、20年経っても(快楽を)脳が覚えてしまっている」というのは、麻薬・覚せい剤乱用防止センター。「当センターでは、安易に薬物に手を出さないよう、小学生の頃から注意を促している」という。
運送業界も従業員が安易に薬物に手を出さないよう、手を打つ必要がある。警視庁によると、薬物事犯の送致人員は平成22年で2290人。うち「通信運輸従事者」は50人(男48人・女2人)だった。同21年は2648人中73人、同20年は2757人中71人。また、警察庁によると、薬物事犯全体の検挙数は1万4529人(前年比418人減)に上る。
従業員の薬物使用については、「どこまで事業者責任か」との疑問はあるにせよ、万一、薬物使用のドライバーが交通事故を起こせば、企業のイメージダウンは計り知れない。「ウチのドライバーに限って…」と考えるより、職場全体での予防が求められる。(小西克弥)
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