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ブログ・小山 雅敬
第253回:2024年以降に向けたドライバーのモチベーション向上策
2023年7月7日
【質問】2024年以降、労働時間の上限規制により給料を多く稼ぎたいドライバーが稼げなくなると、ドライバーのモチベーション向上策としては何が考えられるのでしょうか?
ドライバーは何よりも安全な労働環境の下で過度なストレスがなく伸び伸びと働けることでモチベーションを高めることができます。そのためには経営者や上司とのコミュニケーションを密にして、ドライバーが自由に意見を言うことができ、上司からすみやかにフィードバックがある職場にすることが大事です。
また、ドライバーは自己の成長が実感できることでモチベーションが向上するため、スキルアップの支援策をなるべく多く採り入れることが重要です。
免許や資格の取得支援はもとより、車両の新技術や安全に関する研修機会を増やし、計画的に育成できる教育プログラムを構築すると良いでしょう。
また、日常の目標管理において、例えば「コスト意識」の観点では「高速利用料の節約」等の労働時間短縮に逆行する項目は早期に廃止し、「燃費向上」や「修繕費削減」等の努力を適正に評価すると良いでしょう。
労働時間の削減で仕事量が減少しても、コスト削減の努力が賃金に反映されることで自己達成感を得ることができます。
また、ドライバーの関心が最も高い「労働条件」に関しては、2024年以降、特に賃金と休日の両面を考慮することが重要です。賃金に関しては運賃交渉の進展に合わせて賃上げを検討する必要があります。
2024年以降、現状の賃金が下がらないように維持することが求められ、さらに人材確保のためには労働時間が減っても賃金を上げていく必要があるでしょう。その際、仕事の効率に関わらず労働時間が長い社員ほど高賃金になるような賃金制度は避けることが重要です。
今後は時間より生産性を重視すべきであり、必要な場合は賃金体系の見直しも検討したほうが良いでしょう。なお、福利厚生制度もモチベーションを高める効果がありますので、積極的に検討すべきです。住宅補助や子育て支援、介護支援等の施策も採り入れていくと良いと思います。
その際、会社独自の支援策としてわかりやすい名称(例:「親孝行支援金」等)を検討すると人材確保に効果的です。また、休日の増加や休暇の新設(リフレッシュ休暇等)も検討したほうが良いでしょう。
ドライバーのワークライフバランスを尊重した見直しを行うことで会社の熱意が社員に伝わり、モチベーション向上に効果をもたらします。
(コヤマ経営代表 小山雅敬/中小企業診断士・日本物流学会会員)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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