-
ブログ・小山 雅敬
第267回:若手経営者の悩み 「会社を変えていきたい」
2024年3月8日
【質問】3年前に先代社長(実父)から中小運送会社の経営を引き継ぎました。今のままでは将来に希望が持てず、会社を変えていきたいのですが、どこから手をつければよいかわからず悩んでいます。経営の方向性を検討する際の考え方を教えてください。
経営指導の現場で日々、数多くの経営者と接していますが、最近は若手経営者から「運送業は将来どうなるのでしょうか?」「現状のままでは明るい見通しが立てられない」などと将来の不安を聞くことがあります。
「会社の方向性を変えたいが、どうすればよいかわからない」と漠然とした悩みを抱えていることがわかります。燃料価格や最低賃金の上昇などコストアップ要因が重なる中で、2024年問題に直面し、経営意欲が減退している若手経営者も時々見られます。
経営の方向性(いわゆる経営戦略)を再検討する場合は、「現状の分析」から始める必要があります。現状を分析する際は、最初に「客観的に見て自社の強みと弱みは何か?」を把握しなければなりません。
自社に対する外部評価を明確に把握していない経営者もいますので、荷主や元請、同業者などに「自社と取引する理由」や「期待されている内容」をヒアリングするとよいでしょう。
「仕事が丁寧」「安全意識が高いので任せて安心」などの良い内容もあれば、「保管倉庫があると助かるのだが」「長距離輸送も続けてほしい」など要望が出てくることもあるでしょう。
中には自社だけでは解決困難な要望があると思います。その場合、他社と組んで解決できないかを検討するとよいでしょう。まず何から撤退するかを検討し、撤退で浮いた人材や資金を目指すべき方向性に集中する方法もあります。
これからの時代は目先の業績のみにとらわれず、他社ができないことを共同化で可能にして、収益機会を従来の2倍、3倍に増やすことを検討すべきでしょう。
倉庫が無いのであれば、倉庫を保有する会社と提携するか、自社保有を計画するかを検討します。最初から実現可能性を考えるのではなく、「こんな会社になりたい」と想像し、現有の資源(特に人材や資金調達力、同業ネットワーク等)に照らして具体化の可能性を検討します。
なお、今後は人に頼る経営から戦略的なデジタル活用にシフトする会社が確実に優位性を高めていきます。中小運送会社は身近な運行管理や労務管理からDXの推進を意識するとよいでしょう。
若手経営者は「どのような会社を目指すのか」を自らに問いかけ、経営を今までの延長上で考えるのではなく、時代の変化をよく見据えて熟考することが望まれます。
(コヤマ経営代表 小山雅敬/中小企業診断士・日本物流学会会員)
関連記事
-
-
-
-
筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
「ブログ・小山 雅敬」の 月別記事一覧
-
「ブログ・小山 雅敬」の新着記事
-
物流メルマガ