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運送会社
王子物流 海上輸送の強化と復荷増加が課題
2010年3月24日
王子製紙の物流子会社、王子物流(齋藤源二社長、東京都中央区)は現社名となってから来年で10周年。王子運輸倉庫として1961年に設立、親会社などの統合で各社の物流子会社であった本州物流センター、北海道王子物流、KSウィング、神崎物流センターと01年に合併、05年に富士臨海倉庫とも合併し、現在に至っている。
取締役・常務執行役員の武井宗行氏(写真)は「王子製紙のシェアードサービスとして運送事業8割、倉庫事業2割を行っている。運送は、各製紙会社の工場から消費地までの輸送。工場のうち物流事業併設は9割。1割くらいは顧客専属に近い小規模工場で、納品先のユーザーまでが100ー200キロ圏内。顧客側から取りに来るケースも多い」。「輸送手段としてはトラックでの陸送が45%、JRやコンテナなどの貨車が10%弱、海上輸送が45%。倉庫事業は消費地と中間地に倉庫があり、アセットとして保持している」と説明する。
「グループとしては孫会社になる王子陸運で約270台を保有し、他も合わせると自社車両は約300台。トラックでは全稼働の約2割が自社車両。この1年程、東京での運送状況は悪いが、外部の運送事業者の協力も得て、1日に1500台は走らせている」と言う。
しかし、「現在は荷量も落ちている。自社車両をフル稼働したうえでの外部協力なので、長く協力してくれている事業者への仕事量の確保も課題」と話す。
また、環境面では「モーダルシフトとして海上輸送に注力。特にロールオン(RO)船での輸送では、シャシーに積んでそのまま輸送できるため、輸送ダメージが小さい点も重視している」と語る。
現在は1万トン級の船3隻を、2日かけて苫小牧・東京間を往復。月ー土まで週に6日、毎日船が到着する。また東京ー宮崎間でも3日に1度の間隔で便がある。
武井常務は「製紙産業は景気を映す鏡と言われるほど影響されやすい。今後は現在2割の倉庫事業を運用・活用し、外注を増やしていく努力が必要」と話す。製品輸送の復荷が外注事業であり、消費地から各工場地域への貨物の確保が課題だ。
また、親会社の海外生産プロジェクトとして、今秋をめどに中国・南通で工場を稼働。同社も中国での物流ネットワークを構築中だ。
「5ー6年かけて、ようやく5月くらいから試運転見込みのプロジェクト。以前からあった物流の上海事務所を現地法人に格上げした。初期は年間35万トンの生産量、次期には倍増する計画。中国国内でいかに効率よく物流システムが作れるか。暗中模索の状態だが、品質を確保しながら対応していかなくてはならない」と語る。
武井常務は「コンプライアンスと環境保護は社会的責任。その中で復荷もあわせた、年間600万トンの輸送能力の効率化は社会貢献として重要」と述べた。
◎関連リンク→ 王子物流株式会社 -
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