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    エーザイ物流・成瀬社長「業界トップの物流品質を追求」

    2007年10月15日

     
     
     

     製薬会社エーザイの物流子会社として設立され、以後は自立運営を進めてきたエーザイ物流(成瀬登社長、神奈川県)。品質向上の取り組みが評価され、親会社以外の多くの製薬会社からも信頼を集めている。
     同社は00年に医薬品物流子会社では日本で最初にISO9001を取得。
    一昨年には社内に品質保証部を設置し、全社横断的な品質管理部門を設けることで物流品質を向上させた。


     物流拠点は神奈川厚木、岡山北房、北海道札幌の全国3拠点。自社でトラックは持たず、実運送は協力運送会社十数社に依頼している。
     そうした運送会社への品質向上や事故防止には、同社からスタッフが出向して査察・研修を行っている。メーンで動いている運送事業者には毎月1回、ターミナルの査察に入る。また、「フォークリフトをぶつけた」などの事故が、いくつか起きた場合も同様に実施。他にも同社から運送会社に赴いての品質教育の実施、事故撲滅の共同キャンペーンの実施など品質向上活動を展開する。
     こうした取り組みが効果を生み、輸送事故も庫内事故も、ともに減少。協力運送会社は、エーザイ物流の仕事をすることで輸送品質が向上しており、「荷扱いが良くなった」として、他の新規荷主を獲得している事例もある。
     デリケートな医薬品を扱う上で温度管理も重要。同社では、夏と冬に輸送中の温度変化を調査、「貨物追跡プロジェクト」を実施している。これは輸送する製品の中に、温度調査用のサーモレコーダーをダミー箱の中へ梱包しておき、実際の輸送中の温度データを把握するもの。
     物流人材の育成にも力を入れている。マンネリを打破し相互に切磋琢磨する、事業所間の技術交流研修では、1か月間、他の物流センターで業務実習を行い、改善点をレポートする。
     また、「Xプロジェクト」と名付けた研修制度では、センター長の早期育成を目的に、財務、会計、労務、物流技術、情報システム技術などを取得させる。さらに期間限定転勤制度では、視野の拡大や変革への対応力を養うために、2年間に限定した事業所間の転勤制度を設けている。
     エーザイ物流のなすべきこと。それは、1件の事故もない会社であり、荷物がいま・どこにあるかが、すぐわかる会社であること。それはエーザイ物流として、医薬品物流品質を保証する。品質を保証するためには実運送会社も一緒になった運用改善、業務改善が必要であり、新システムの開発なども必要だ。
     成瀬社長は「指定された製品が、指定された場所に、指定されたときに届くこと。その当たり前のことを繰り返していくことの大変さを知らなければならない」という。「目立たなくても、コツコツと事故のないように努力を続けていくことの困難を知り、そういう人を評価していかなければならない」と話す。
     そうした思いの一つが、社長答申書だ。社長対社員の一対一の報告で「何でも自由に書いて報告する」仕組み。社員からの指摘で改善すべきものは、すぐに改善される。「風通しのいい社風と思うよ」と同社長。
     今後の目標について「外部の受託メーカーを増やすこと」と「受注センター機能を取り入れる」を挙げる。「硬質な企業体質を構築し、売り上げを着実に伸ばしていきたい」とする。そして何よりも「顧客満足の向上」を追求していく。 
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    【会社概要】91年4月1日に営業開始。資本金6000万円(エーザイ100%出資)。売上高26億円(06年度)。事業内容は、医薬品及び食品、検査薬などの物流業、医薬品製造(包装・表示・保管)、倉庫業など。
    ◎関連リンク→エーザイ物流

     
     
     
     
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