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    最低保有台数引き上げ問題「5台で堅持」か

    2010年7月13日

     
     
     

     トラック産業の将来ビジョンに関する検討会(野尻俊明座長、流通経済大学教授)は7月の中間とりまとめで「最低保有車両数」の引き上げ問題については結論を出さず、今後、ワーキンググループ(WG)を設置して検討することになった。
     関係者への取材で明らかになったもので、中間とりまとめでは「引き上げる」といった文言も使わず、方向性も明示しない可能性が強まったという。社会的責任を遂行するためのトラック事業者の「適正規模」を巡って注目されていた最低保有車数引き上げ問題は確実にトーンダウンしてきた。来夏(または秋口)の最終取りまとめでは「現行規制5台を堅持」の可能性が強いという。


     トラック運送事業の許可基準となる最低保有車両数は現在、全国一律「5台」。物流2法が施行される前は都市の人口に応じて「5台」「7台」「10台」「15台」など、地域により最低車両数も異なっていた。
     「5台」に参入規制が緩和されたことから零細事業者が急増。このため過当競争を招き、運賃・料金水準の低下や不十分な環境・安全対策による違反・事故の続出、社保未加入問題など、「業界の品位を著しく落としている元凶」との指摘が業界内部に多く出始めた。
     トラック産業の将来ビジョン検討会では「必ず、何らかの結論が出るはず」と注目されてきたが、「現実に引き上げるのは難しい」との意見が大半を占めた。
     確かに、これまで3回開催された検討会では毎回、トラック事業者から「最低車両数を見直してほしい」「台数を引き上げるべき」といった意見が相次いだ。しかし、最低車両数問題について「時間をかけた、まとまった議論は一切行われなかった」という。また、トラック事業者の中にも「2か所目の営業所は5台でいいのではないか」「保有車両による参入規制は時代の流れに逆行する」などの意見もあり、統一できなかった。
     ある担当官は「最低保有車両数の引き上げは、国が進めているような一部報道もあるが間違いだ。以前、一部の幹部が不本意に話したことが拡大され、マスコミが喧伝しているに過ぎない。物流行政にかかわる多くの役人は、市場から事業者の自由を奪う『引き上げ』に対して批判的だ」という。
     また、ある委員は「環境・安全対策などに求められるコスト負担が可能で、コンプライアンスを維持できる適正規模は『何台』という議論はあまりに稚拙で通用しない。会社の規模に関係なく、『公平で公正な競争市場』をいかに構築するかが重要になる」と指摘している。

     
     
     
     

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