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労務管理
残業未払い請求される前に 就業規則や36協定の見直しを
2017年9月1日
ドライバー不足から、ドライバー確保に躍起になっている運送会社は多い。同業他社からの転職でも、何の調査もなく雇い入れ、そのドライバーが未払い賃金請求を起こしていた事実が発覚。既に雇用してしまったために解雇できないというトラブルが多くなっている。闇雲にドライバーを雇うことは避けたいが、万一トラブルとなっても、未払いが発生しにくい就業規則や36協定を明確に作成していれば大きな問題にはならないのかもしれない。
大阪・堺市に本社を構え、過去に未払い賃金請求を受けた経験のある運送A社では、「数年前にドライバー2人から退社後に未払い残業賃金請求を受けた。裁判に発展し、和解した金額は2人で300万円程度。その後、未払い残業賃金が極力発生しないための対策として、就業規則と36協定を専門家に見直ししてもらった。今年に入って過去に未払い残業代を請求してきた相手の弁護士名で、別のドライバーから未払い請求が来た。就業規則などは既に見直しを行っていて、完全に未払いが発生していないとは言えないが、現状では以前の請求額や和解金には至らないと考えている。あらかじめ就業規則と36協定を見直したことが奏功し、大きな問題になる前に小さな問題として解決できるはず」と話す。
車両100台を保有し従業員も100人を超える運送B社では、「過去に労基署からの指摘で未払いが発生、対応した経験がある。その後、社労士に徹底して就業規則や36協定を見直してもらい、時代に応じた対応を行っている。未払い残業賃金は運送事業を行う上で発生してもおかしくない労務トラブル。テレビはもちろん、ネットなどでも未払い残業賃金のトラブルは紹介されている中で、まったくゼロと言うことはありえない」と指摘。
「当然、ドライバーの数が増えれば、そのリスクも増えていく。この中ですべてを避けて通ることは困難。大きな傷を小さい傷でしのぐことができる対応策を取っている。当社では金額を少なく抑えるために、閑散期では休日を増やし、待機時間の短縮に取り組んでいる。さらにはドライバー自身による早出に対しては、文書による注意勧告などを行うなど、社労士の指示通りに取り組んでいる。こうすることで万一、残業未払いが発生したとしても大きな損害は被らないだろう」としている。
残業未払い請求は依然として減少しておらず、大きな損害にならない形を考える運送会社が増えてきている。就業規則や36協定を昔のままで放置せず、現在の状況に応じた形に見直すことが必要。これを行うことで、大きな損害を防げるのかもしれない。
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