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射界
2019年5月13日号 射界
2019年5月27日
「人間の衰退の兆候は、魅力の有無である」と言っているのは、経営学者ピーター・ドラッカーだが、芸能人のなかにも「面白いなあ」と思っていた人が、いつか輝きを失ってテレビ画面から遠ざかる人がいる。一発芸はともかく、一人の人間としての魅力を保ち続けるのは、タイヘンな事である。
▲そう言えば、ドラッカーは「二つ以上の世界を生きよ」と諭している。一つは〝仕事大好き人間〟として、今の仕事に情熱を注いで責任と結果を示し、一方で、仕事に向けるのと同じ程度の情熱で異質な世界を楽しむことを奨めている。別の異質な世界を楽しめる人は、本来の能力とは別の含み資産を持っていることにも通じ、人間としての魅力に箔がつけられる。
▲仕事上の出会いであったとしても、相手が「もう少し話していたかったな」と思わせる存在になれば大成功。多彩な人が混在するビジネス社会、その気になって探せば必ずいるはずだ。経験からいえば「健康に関して一家言ある人」や「人付き合いのコツ」を教えてくれた人、「酒席のマナー」を伝えてくれた料亭の女将さんら、その世界の達人の顔が浮かぶ。
▲仕事大好き人間と言えども、一度や二度は飽きが来たり、億劫になったり、スランプ状態に陥ることもあろう。そんな時、別の世界を持っていれば「癒される」こと間違いない。暗く落ち込む心を引き締め直してくれるだけに留まらず、情緒の安定化に大きく貢献する。欲張りのようだが今から、二つの世界を育てながら、更に人間の魅力増進に励みたいと願う。
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