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    横行する「白紙の見積もり書」にお手上げ

    2010年7月9日

     
     
     

     「トラック運送業は、もはや戦国時代に突入している」と声を荒げる大阪の運送会社社長。社長によると、5月の連休明けから荷動きが極端に低迷し始め、それに伴い運賃競争も激化しているという。先月は事業開始以来の驚くべき事態に遭遇。同業者が荷主に白紙の見積書を提示して仕事を奪われたという。「運賃競争は激しさを増しているが、白紙の見積もりには参った。これでは太刀打ちできない」と、あきれ顔で白旗を揚げてしまった。


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     同社は全国展開するホームセンターの荷物を扱っているが、物流センターから店舗に向けての商品配送と、メーカーから物流センターへの配送を行っており、多くの運送事業者が入り込んでいる。

     店舗への配送を行う便は朝一番に配送し、配送後は物流センターに帰って構内作業を行う。何万アイテムという商品を扱うホームセンターでは各メーカーから物流センターへの配送も多いが、店舗への配送と物流センターへの配送は各運送会社とも独立させて車をあてがっていた。

     しかし物量が落ち込む中、店舗への配送を終えた空車便を利用して店舗近くにあるメーカーの荷物を取り込み始め、「『物流センターへの帰りが空なので値段はいくらでもいい』と白紙の見積もりをメーカーに提示するところが出てきている」という。

     大きな得意先を失った同社は、「限られたパイの中での仕事の取り合いになっている。ダンピング合戦は激しさを増しており、輸送秩序も何もない」と嘆いている。

     「尼崎(兵庫県)から水戸(茨城県)まで10トンのバラ荷物をネットで5万5000円で出したら30秒で売れた。有り得ないこと」と話す別の大阪の運送会社社長。

     「帰り便とはいえ、通常は7万円が妥当。6月から運賃相場が極端に下がっている。4トン車で東京からの帰りが4万円を切るケースもあり、これでは高速料金が一律5000円になっても高速には乗せられない」と危機感を募らせている。

     設立から30年目を迎え、長距離を主体として事業展開する大阪の運送会社社長も「とにかく、東京からの帰り荷がない。6月からは東京からの帰り便が空車になるケースが3割あり、こんな事態は設立以来、初めてのこと」と驚きを隠せない。「1日の半分以上は帰りの荷物探しに明け暮れている」とし、7月に入っても動きは芳しくない。

     ある事業者はタリフ(運賃表)を持ち出してきて、「平成6年の公示運賃では、大阪から東京まで距離650キロとして、4トン車で基準が9万円。上限10万3500円で下限8万4500円。16年前の下限運賃さえもらえていないどころか、半値で走っている」と怒りをあらわにする。

     また、「燃料もじわじわ上昇しており、経営環境は悪化の一途。真綿で首が絞められており、こんな状態が続けば、来月あたりから消えてしまう事業者が相当数出てくるではないか」と話している。(大塚 仁)

     
     
     
     
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