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    「運送は稼げる」時代は終わった

    2010年7月23日

     
     
     

     「ドライバーの意欲がどんどん奪われていく」。トラックの重大事故が相次いだ背景を受け、徐々に強化された社会的規制。飲酒運転の厳罰化はもちろんのこと、労働時間の管理まで厳しく問われるようになってきた。これまでは法定労働時間を無視した経営も成り立っていた。今もまだ、その名残はあるようだ。しかし、行政の締め付け強化によって、息苦しさを感じる事業者も少なくない。労働時間が法律で決められている以上、それを守ることは当然として、それは同時に、ドライバーから働く意欲を失わせているという側面も否定できない。稼げることが魅力だったドライバーの姿は昔の話になりつつある。ではなにが魅力なのか。難しい課題を突きつけられている業界にあって、事業者の苦悩は増すばかりだ。


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     「以前は無理してでも仕事を取っていたが、今は断るようになってしまった」とこぼす埼玉県の事業者。同社は地場を中心に食品輸送を手掛けている。激しい競争から運賃水準が下がり、取り巻く経営環境は厳しさを増している。そうしたなか、同社は「少しでも稼ぎたいと、仕事を取りにいっていた」という。

     ドライバーも納得し、進んで仕事をこなしていた。しかし、雇用環境に変化が生じてきた。ドライバーの労働時間管理が求められるようになってきたからだ。

     「以前のように、何でもかんでも仕事を取って、ドライバーに走らせるわけにはいかなくなった」という。そのため、「今までなら喜んでやっていた仕事も、断らなければならないケースがでてきた」という。

     「会社は売り上げを上げるチャンスであり、ドライバーもぜひやりたいという。しかし、そんな状況でも、仕事を断らなければならない」と話す同社長は、「我々の時代では考えられなかったのに」と、納得ができない様子。

     「寝る間も惜しんで働いて稼いでいた」同社長にとって、労働時間を管理しなければならない今の状況は理解ができないようだ。

     仕事を断れば当然、売り上げは減る。ドライバーの賃金にも影響する。その結果、「もっと仕事をしたいと、意欲のあるドライバーが会社を去ってしまう」と同社長はこぼす。

     その上で、「残ったドライバーは、言われたことをやるだけの指示待ち人間になり、仕事への意欲は薄れていく」と危機感を募らせ、「働かせすぎというのは確かに良くはないが、では今のドライバーという職業に魅力は果たしてあるのだろうか」と疑問視する。

     さらに、「若いドライバーたちを雇用するのがますます難しくなっていく」とした上で、「『稼げる』に代わる新しい魅力が見つけられない限り、会社はどんどん活気を失っていくのではないだろうか」と不安を吐露している。(高田直樹)

     
     
     
     
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