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関東トラック協会が「標準運賃」設定を要望へ
2010年7月30日
関東トラック協会(星野良三会長)は所属するトラック事業者1万3346社の総意として、「貨物自動車運送事業法に基づく『標準運賃及び標準料金』の設定」を国に要請する。参入規制などの規制緩和以降、物流業界の競争は激化する一方で、「運賃は一貫して低下している」と指摘。7月22日に開いた常任理事会で決議したもので、同法第63条で規定する「適正な原価及び適正な利潤を基準とする標準運賃及び標準料金の設定」の具現化を国交大臣に強く求めていく。要望は9月にさいたま市で開催する関東事業者大会で発表後、正式な文書にまとめ国交省をはじめ関係機関に提出する。「標準運賃」はこれまでも話題になってきたが、法的根拠を明示しつつ関東1都7県の物流事業者の総意とする大規模な要請は例がなく、注目される。
要望の根拠とするのは、貨物自動車運送事業法第63条第1項「標準運賃及び標準料金」の規定。運賃や料金が「その供給輸送力及び輸送需要量の不均衡又は物価その他の経済事情の変動により著しく高騰し、又は『下落』するおそれがある」場合、国交大臣権限で「期間を定めて標準運賃及び標準料金を定めることができる」としている。関ト協は、運賃の低下がさらに続けば「環境問題への対応はもとより安全輸送の確保もままならない状況で、看過すれば公共の利便を損なうばかりか、運送事業の健全な運営を阻害することになる」と主張。「今こそ標準運賃・標準料金を定めるべき」と訴える。
「数年前なら『今さら時計の針を逆戻しすることなどできない』とハネられただろう。しかし時代は変わった。安全・環境はもちろんだが、将来確実に不足が予測される『ドライバー』の労働環境も、適正運賃が収受できずに改善できるはずがない。国は現状を直視すべきだ」と関係者は話す。
「標準運賃」について、数年前までト協幹部らには「市場は競争原理で動いており、現行の事後届け出制は事実上の自由化。国の方針なので致し方ない」とする意見が圧倒的だった。それが変わってきたのは昨年ごろからで、「標準運賃」構想に消極的だった星野会長も新年会のあいさつで「設定」を呼び掛けるなど風向きが変わってきた。
「トラック産業の将来ビジョンに関する中間報告」では、ワーキンググループが新規参入時の最低車両台数とともに「適正運賃収受の取り組み」について検討する。昨秋、全ト協などが国に協力して行った運賃実態調査のデータが参考資料にされるという。
業界では「旧認可運賃まで戻ることはないだろうが、それに近い形は不可能ではないはず。これ以上の運賃下落はどうしても避けたい。そのために国のお墨付きが必要だ」との悲痛な叫びが高まっている。国の対応を見守りたい。(土居忠幸)
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