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    続出する不良契約 フロントガラスの破損保険

    2010年11月15日

     
     
     

     昨年8月、フロントガラスの破損を補償する画期的な保険が誕生した。保険料は年間4000─5000円程度で、フロントガラスが事故で破損した場合にフロントガラスと交換工賃を保険金で補償するもので、車両保険より使い勝手がよい保険として契約を獲得していった。ところが、1年を経過して不良契約が続出。収入保険料に対し、保険金の支払い額が倍程度に膨らむ状況が発覚し先月、関東財務局から保険会社に指導が入った。ユーザーには運送事業者も少なくないとの情報もあり、関係者は事態の動きを注視している。


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     同保険は保険会社と、自動車ガラスの販売施工業者で構成される協組がタイアップしてつくったもので、保険代理店である組合員のユーザーを中心に契約者が増えていった。

     保険内容は保険料(年払い)が普通自動車で4100円から、貨物自動車で5640円からとなっており、フロントガラスの保険金額は上限10万円で、ガラス工賃費用の保険金額は上限5万円。免責金額はなく、保険を何度使っても保険料は上がらない。

     フロントガラスの破損については車両保険を使うのが一般的だが、保険料が高く、使用すれば保険料率が上がるため、車両保険自体に入らないところも少なくないため、今回の保険は画期的なものだった。法人契約も1法人につき100台まで契約が可能なため運送事業者の契約も少なくなかったようだ。

     しかし、フロントガラス市場の価格競争を背景に、この保険を悪用したと思われる事態が発生した。保険会社が協組に配布した資料によると、収入保険料568万円(9月1日始期分まで)に対し、保険金の支払い額は1032万9000円(支払い予定額含む、9月30日時点)にも達しており、保険金支払い率は収入保険料の182%。代理店手数料支払い後の保険金支払い率では214%にも達しており、保険会社は10月に関東財務局から抜本的な対策を講じるよう指導を受けた。

     不良契約については契約後1、2か月内のガラス交換工事に集中していたことがわかっているが、不良契約については保険が販売される前から組合員の間で懸念の声が上がっていたという。

     ガラス業界に詳しい関係者によると、「定価が15万円のフロントガラスでも輸入品を仕入れた場合、定価の2掛け、3掛けで仕入れるケースもある。工賃を含めても保険を使うことで1回につき10万円以上『抜く』ことは可能」と話しており、組合員とユーザーが組んで、保険金を騙し取っていた可能性を指摘する。

     また、「申告だけで、違法な契約がやりたい放題。何度でも使え、悪用すれば保険料の割に大きなお金が入ってくるもので、世間の情勢が悪い中でガラス業界も値段の下げ合いに走るところもあり、今回の事態になることは目に見えていた」と説明している。

     財務局からの指導を受け、保険会社では協組を通じて組合員に対し、不良契約を排除するため全契約についてナンバープレートの入った全体写真とフロントガラス拡大写真の添付を義務付け、代理店ごとに支払い件数が契約件数の5%を超えた時点で代理店販売を停止する対策を打ち出している。(大塚 仁)

     
     
     
     
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