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    自助努力のない競争 「安運賃」「下請けたたき」に脱力感

    2010年12月3日

     
     
     

    truck_1206.jpg 35年の長きに渡って取引をしてきた荷主から、今年10月に契約を解消された千葉県の運送事業者は、「あまりにも理不尽で理解できない」とした上で、「荷主も荷主だが、運送会社も運送会社。秩序も何もあったものではない。これがまかり通るなら、もう業界に未来はない」と憤っている。



     同社が荷主の製油会社の仕事を始めたのは35年前にさかのぼる。マーガリンや石鹸の原料となる綿実油を作る際に出るカスの輸送を手掛けたのが出会いだった。

     同社社長によると、「ホコリがすごくて当時は誰もやりたがらなかった。うちのドライバーにもやらせられず、私が自ら運んでいた」。そうした取り組みが評価され、徐々に仕事を任されるようになったという。

     その後も、倉庫の統合など物流合理化の提案や取り組みにも進んで協力。その甲斐あって、その荷主の物流はすべて同社に任されるようになった。「月間400万円の仕事だが、安定した売り上げが見込める仕事だった」という。

     35年間付き合ってきた中で、その荷主へ同業他社の営業がなかったわけではないが、すべて経緯を知る荷主の役員が断ってくれていた。しかし、その役員が会社を去ってから状況が一変。代わって入ってきた役員が、同業他社の安い見積もりになびいてしまったのだ。

     必死に契約更新を訴えた同社長だったが、荷主の考えは変わらず、結局、他社に仕事を奪われてしまった。同社長によると、他社が出した見積もりは、千葉から東京への配送で、4トン車が1万7000円、大型で2万4000円という内容。仕事は半日で終わる場合もあれば1日かかる時もあり、「突発的なことにも対応しなければならないと考えれば、採算は合わないはずだ」と指摘する。

     「長年の取引を解消するには、何も知らない役員を窓口にするのがもってこいなのだろうが、やり方がずるすぎる」と荷主の対応を非難するが、それ以上に同業他社のやり方に不満を漏らす。「安い運賃でも、努力して自社のトラックで運ぶのならまだ理解できる」というが、実際はすべて協力会社に任せるという内容だった。さらに、その協力会社は、同社がこれまで仕事を依頼していた事業者だったのだ。

     「協力会社にしてみれば、荷主がうちから他社へ移っただけで仕事の内容はまったく変わらないのに、運賃はかなり下がることになる」と指摘。「安くても仕事がなくなるよりはマシだということで請けるのだろうが、結局、自社で努力するのではなく、下請けをたたいて仕事を奪っただけ。これでは業界が良くなっていくことはありえない」とこぼす。(高田直樹)

     
     
     
     
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