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重厚長大物輸送 リーマン・ショックで急降下
2010年12月8日
鋼材や橋げたといった重厚長大物の輸送に携わったトレーラ事業者が10月末、ひっそりと債務整理に入った。リーマン・ショック前には1台当たり200万円を超えていた売り上げも、それ以後は100万円そこそこにまで落ち込んだ。車両は5台。交渉したいと申し込んだが、車両のリース契約の結び直しには一向に応じてもらえなかった。そして、下がらない燃料代。月間100万円の赤字が続いたが、最後は金融機関からの借り入れもままならなくなった。
5台の車両は、06年から08年7月の間に続々と新車が投入された。新車を投入するまでは主に橋げたを運んできたが、橋梁メーカーの談合事件が発覚。受注が急激に落ち込んだ。しかし、製鉄所から自動車工場まで鋼材を輸送する仕事の紹介を受けたことから、新車を投入し始めた。数百?離れた自動車メーカーの工場に、ひっきりなしに運行があった2年前までは、孫請けながら1日に10万円以上の売り上げがそれぞれのトレーラにあった。橋げたから鋼材にうまく切り替えることができた。しかし最後の新車が導入された2か月後、リーマン・ショックに見舞われた。09年の年明け以降、自動車工場までの輸送がぱったり止まった。製鉄所内の草むしりやガードレールの清掃にと、元請け会社から下請け運送会社のそれぞれの運転者が駆り出された。運転者には日当が出たが、下請け会社には1円も入らない日もあった。世は「雇用調整助成金」が流行語でもあった時期。給与分にでもなればと、元請け会社に従業員を預けた。
半年後、トレーラの仕事が徐々に戻り始めたが、売り上げは1日2万円台の日もあった。本当に燃料代にもならない運賃だ。しかし、トレーラの形状がほかの仕事を許さない。
漏れ伝わる話では、元請け会社のトレーラによる自動車工場への輸送も再開されていた。しかし、「おいしい」仕事が回ってくることは皆無。運転者は、元請け会社に派遣されたような状態が続き、運行管理も元請け会社が行うような状態だ。配車から仕事が提示されても運転者に直接であり、下請けの同社には指示が入ってこない。「そんな安い仕事、断れ」と運転者には伝えたが、歩合稼ぎのために請け負ってしまう。抜き差しならぬまま、「それでもいつか回復するのでは」という淡い期待もあった。日々、赤字が膨らんだが踏ん張った。
暫定税率はどうして下がらないんだ。リース契約の結びなおしに応じてもらえないのをどうしたものか。愚痴をこぼせばきりがない。しかし、「全て自分で決めたこと」とポツリ。破産準備の案内は債権者に届いているはずだが、燃料ディーラーなどからは電話すらかかってこないという。(西口訓生)
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