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トラックが被災者の力に 東日本大震災
2011年3月18日
東日本に甚大な被害をもたらした世界最大級、マグニチュード(M)9.0の「東北地方太平洋沖地震」。被災地では電気・水道・ガスといったライフラインが分断され、人々の生活は困窮を極めているが、「トラック」という、もう一つのライフラインが動き出した。15日午前現在、緊急支援物資を輸送しているトラックは全国で延べ500―600台に及ぶが、「緊急輸送要請は日ごとに増えている。最終的には数千、数万台規模になるだろう」(全ト協)という。緊急輸送のもう一方の立役者である船(貨物船)は、大津波で港が機能不全に陥ったため十分な活躍ができない状態。北海道―青森航路のフェリーから出てくるのも物資を積んだトラックばかり。国も自治体も今、改めてトラックに大きな期待を寄せている。
食料や水、毛布など緊急物資を積んだトラックが余震の頻発する中を走り抜け、被災地に送り届けている。災害対策基本法に基づきトラックによる緊急輸送は、国の要請を全ト協(中西英一郎会長)が取りまとめているほか、都道府県ト協でも独自に各自治体と協定を締結。それぞれの要請に応じて緊急輸送を行っている。
震災発生の初日から、国や自治体から緊急輸送の依頼が集中した。想像を絶する大津波で被災地の港は軒並み壊滅的なダメージを受け、また港湾荷役機器も損傷、陸揚げ作業もままならなくなった。このため「船による大量物資輸送はすぐに開始できない」として、トラックに頼らざるを得なくなっている。
全ト協はじめ各地のト協では要請に応じて、多種多様な救援物資を積載したトラックで緊急輸送を展開。各地で高く評価されている。ただ、「国の要請で1台8?の発電機を運んだが、指定された場所にあるはずの会社は瓦礫になっていた」(愛知県のトラック事業者)、「飲料水の緊急輸送で依頼を受けたが、『宮城県』というだけで受け入れ先が判然とせず、現在待機中だ」(山梨ト協)など現場には混乱も生じている。全ト協は「未曾有の震災では多少の混乱も起こるかもしれないが、それに負けずに協力してほしい」と呼び掛けている。
全ト協は震災当日から泊り込みで対応に追われる職員も多く、各ト協でも緊急輸送の担当者は連日の要請とその手配に忙殺されている。こうした中、全ト協は軽油の安定供給を求め、14日付で「トラック用燃料(軽油)に関する緊急報告及び要望」を国交、経産両省と政府緊急災害対策本部に提出した。両省の大臣がこれに呼応する形で発言。関係者の注目を集めている。
また、全ト協は14日、被災したトラック事業者の救済のため、今回の地震による災害を「近代化基金運営要領」に規定する「激甚災害」と認定し、100億円を公募枠とする融資事業の実施を決めた。さらに「状況に応じ弾力的に増額する手続きをとる」と付け加えた。災害が「広範囲で大規模」が理由だ。(東北地方太平洋沖地震特別取材班)
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