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    魅力消えたトラック業界 低い売り上げで生活できない…

    2011年7月21日

     
     
     

    truck3_0718.jpg 震災から4か月が経ち、荷動きも多少は落ち着きを取り戻した感もあるが、現場では相変わらず、厳しい環境が続いている。利益の出ない運賃や最低賃金さえ守ればいいという賃金体系がまかり通る中、業界内では、「利益の出ないような仕事を受ける事業者が悪い」と非難する声や、「運賃が安いから人件費を抑えるしかない」と諦めの声も聞かれる。激しい運賃競争で疲弊し、脆弱になった体力に、燃料費高騰などのコストアップ要因が襲い掛かるトラック業界。ますます経営環境が厳しくなる中で、運送業の魅力、そして、ドライバーの魅力が失われていくようだ。



     千葉県で食品輸送を手掛ける事業者は、「断れるものなら断りたいが、仕事が薄い中で強気にでられないのがツライ」とこぼす。同社は、4トン冷凍車で冷凍食品やチルド食品の輸送を行っているが、「1日中働いても運賃は2万5000円にしかならない」という。運賃が安ければ積み合わせによって帳尻を合わせることも考えられるが、同社の場合、「現地発、現地着で拘束は12時間」という。そのため、同社発となると、現場によってはドライバーの拘束時間は14時間に達するという。

     「14時間という労働時間で稼ぎはわずか2万5000円。そこから人件費はいくらも出せないし、ましてや会社に利益も残らない。積み合わせも考えたいが、現状でも労働時間を守れない中で、できる可能性はゼロに近い」と同社長は嘆く。

     「仕事を断れれば何の問題もないが、それができないところに我々の弱さがある」と話す同社社長は、「安いといっても、いまの運賃相場がまかり通っているのが実情で、元請けにならないかぎり、厳しい状況は変わらない」と指摘している。

     一方、埼玉県で雑貨配送を手掛ける事業者は、ドライバー募集の求人で応募してきた人たちを面接して、ある不思議なことに気付いたという。同社社長によると、面接を行った人たちは、いずれも県内のそれぞれ違う運送会社に勤めていた。

     にもかかわらず、賃金体系がまったく同じだったのだ。基本給がいずれも14万円で、それに歩合を加えたのが給料というシステムだった。仕組みにはまったく違和感はないが、問題は歩合にあった。歩合はいずれも売り上げの1割という。

     例えば、4トン車で月80万円を売り上げた場合、歩合給は8万円となり、基本給とあわせ、給料は22万円。これはあくまで総支給額で、そこから社会保険料や源泉徴収分などを差し引かれると、手取りは20万円にも満たない。

     「いまの時代、4トン車で1か月80万円を売り上げることは決して容易ではない」と話す同社長は、「80万円を売り上げても給料が総支給で22万円では、ドライバーのモチベーションも上がらないのではないか」と指摘する。その上で、「運賃水準が上がらない中で人件費を抑えるしかない業界の実態が、ドライバーを面接して切実に伝わってくる」と話している。

     安い賃金が当たり前のような環境は、ドライバーという職業の魅力、トラック業界の魅力を奪っているようだ。(高田直樹)

     
     
     
     
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