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    目先の2000万円に気持ち揺らぎ 全所有車をリース契約

    2011年8月18日

     
     
     

    truck3_0808.jpg 「資金繰りのために借り入れを頼んだら、信用金庫の担当者が連れてきたのはリース会社の営業マンだった」と広島市の運送社長。大型と4トン車で機械部品の輸送を手掛ける同社は従来、割賦によるトラック購入にこだわってきた。「仮に10年落ちでもソコソコの値段で買い取ってくれるし、いよいよスクラップとなってもカネになる」との思いで、「リース契約に興味を持つことはなかった」という。



     そんな社長が過日、取引のある地元の信用金庫の担当者に資金調達を相談したところ、「社長さんの会社のトラックの名義はどうなっていますか」と信金の担当者。念を押すように何度も確認したうえ、その翌日に知らない男性を連れてやって来た。聞けばリース会社の営業マンとのことで、「支払いが残っているトラックも含めて、所有権をウチ(リース会社)に移せば2000万円ほどを用立てることができる」と提案してきたらしい。

     大震災で一時的に仕事がストップしたことで、「その間の入金がほとんどない状態。ただでさえ燃料が暴騰してからの3年余りで個人資産を食い潰しており、もう自宅くらいしか残っていない」と社長。人件費や燃料代などの支払いに「切羽詰まっていた」という苦しい事情もあって話に乗ったというが、「それがリースバックというものだと、後になって知った」と話す。

     目の前の2000万円に気持ちが大きく揺らいだうえ、「名義が変わるだけで、これまでと同じようにトラックは(リースで)使ってもらえばいい」という条件に迷いは消えたという。いったんリース会社に売却したトラックを、あらためてリース契約によって元の運送会社が使用する格好のリースバックは、見方を変えればトラックを担保に資金を調達したのと同じ。

     社長によれば「トラックを売った相手はリース会社だが、しばらくしてカネは信金から振り込まれてきた」と、特に不思議な感じもないという。

     「借金をしたわけでもないのに現金が手に入ったうえ、トラックも手放していない。新たにリース代を支払う必要はあるが、経年車ということで毎月の料金は高くない。これまでのように中古トラックで売却益を出す楽しみはなくなってしまったが、いまを乗り切るための一つの方法と割り切っている」と話している。

     金融機関の営業担当から近年、同様の誘いを受けたという小規模・零細のトラック事業者が増えている。また、「1台の新車リースを組むのと引き替えに、割賦の終了した数台のトラックの所有権をリース会社に移すように求められた」(兵庫県姫路市の事業者)という例や、「修理代を滞納するトラック事業者が少なくない」との理由で、「これまでの平均的な修繕費を毎月のリース代に上乗せすることを契約条件にされた」(岡山市の事業者)といったケースもある。(長尾和仁)

     
     
     
     
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