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手渡し請求書は賄賂!? ライバル会社の告げ口で大問題
2011年12月8日
同じ荷主から仕事を請けている運送事業者は、協力会社であってもライバル会社といえる。他社の仕事上のトラブルが原因で自社トラックの台数が増えることもあれば、その逆もあり得る。他社の仕事上のミスを虎視眈々と待ち、それを荷主に告げ口し、仕事量を増やそうとする事業者もいる。関西の運送事業者A社では、荷主に手渡していた請求書を同業他社から賄賂と指摘され大問題になり、危うく取引が切られそうになった。
同社では毎月月末に社長自ら請求書を持って丸一日かけて取引先の物流部に出向いている。請求書を郵送で送るのは失礼に当たると感じているのと、直接取引先と情報交換を図るためであり、設立してから二十数年経つが、このスタイルを続けている。これがプラスに働いているかどうかわからないが、同社では荷動きが低迷する中でも売り上げ面では大きな落ち込みはなく、毎年順調に会社運営を続けている。ところが、同業者の中には順調な事業運営をねたむところも出てきているようだ。今年9月末、いつものように請求書を入れた封筒を持参して得意先を回ったが、ある物流部の担当者に手渡したところ、この光景をある運送会社の社長が偶然に目撃。「毎月、封筒に現金を入れて得意先の担当者に手渡している」と認識してしまった。業績が低迷していたその会社は千載一遇の機会ととらえ、鬼の首を取ったかごとく、「実はA社は得意先に賄賂を渡して順調に事業拡大している」と、誤った情報を同じく入り込んでいる事業者に触れ回っていった。情報はコンプライアンス順守を掲げる取引先の本社統括部にも入って、その後、緊急会議が開かれ、取引が打ち切られるかどうかの大問題に発展したという。
結局、事情を説明して誤解は解け、何のおとがめもなく、現在も仕事を続けている。A社社長は、「うちは創業してから、中元・歳暮も含め、接待は一切したことがない。請求書を封筒に入れて手渡していたのは、裸では失礼に当たるのでは、との思いから。しかし、礼儀を尽くしていても一体、何が事業に悪い影響を及ぶすかわからないものだ」と話していた。(大塚 仁)
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