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    あてにならない与信調査 高評価の取引先が突然倒産

    2012年1月23日

     
     
     

    truck2_0123.jpg 大手・中小を問わず、突然に経営破たんすることが珍しくなくなった今の時代、取引開始に際して慎重を期す事業者も多く、与信調査に十分な手間をかけるところもある。与信調査の一つとして参考にされるのが、信用調査会社の評点(評価点数)である。しかし、これはあくまでも信用調査会社独自の点数であって、まったく鵜呑みにはできないようだ。昨年9月末に取引先の運送事業者が経営破たんし、民事再生法を申請したが、ある運送会社は信用調査会社の評点を信用して取引を拡大していった。事業者の評点は63点。高い評価を受けていただけに運送会社社長のショックは大きかったようだ。



     経営破たんした関西の運送事業者は、従業員159人を抱え、3PLを駆使した物流サービス、建材の流通加工などを手がけ事業を拡大。売り上げは34億円(23年3月期)を上げ、グループ企業2社(同じく経営破たん)を合わせ52億円(同)で、飛ぶ鳥を落とす勢いで事業を推し進め、周囲の事業者からも一目置かれる存在であった。

     運送会社が取引を始めたのは8年前。与信調査では銀行の評価を聞き、一部上場の取引先をメーン荷主にしていることも考慮。また、信用調査会社の評点を最も重要視したという。

     取引は順調に進み、規模は年々拡大していった。月50万円であったのが、一昨年あたりから月400万円を超えるまでに膨れ上がり、運送会社の取引先のメーンになっていった。ところが、月500万円の取引になった矢先に、弁護士から民事再生法申請のファクスが流れてきた。支払いは20日締め翌々月20日払いで、計1500万円の被害を被った。

     信用調査会社が公表する評点は、企業が健全な経営活動を行っているか、支払い能力があるかなどを第三者機関として評価。調査員が財務状況、規模、経営者の人格、信用力、成長性、安定性、世間一般の評判などを総合的に評価し、企業の状態をわかりやすく100点満点で点数化しているが、評点は取引時の客観的な指標として活用されるケースが多い。

     破たんした事業者は、63点という評点が付けられていた。この点については、中小・零細企業の多い運送業界では取引上、優良事業者と見るところは多く、実際、信用調査会社でも警戒域とは判断していなかった。

     運送会社は大口の債権者であったため、事業者の倒産後、複数の信用調査会社から「取材させて欲しい」と経営状態が健全かどうかの取材依頼が相次いだという。

     幸い、同社は倒産防止保険に加入していたこともあって被害は最小限に抑えることはできたが、社長は、「他人のふところ具合だけはわからない。毎年、信用調査会社の評点を取引の大きな目安にしていただけに、一体、何を信用したらいいのか…」と肩を落としていた。(大塚 仁)

     
     
     
     
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