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運賃に惹かれあわや取引停止 運送業の「安物買いの銭失い」
2012年2月23日
「安かろう悪かろう」「安物買いの銭失い」という言葉があるように、安いからといって良い商品ばかりではない。運送事業においても、ただ運賃が安いからと依頼し、とんでもない事態に発展したケースもあるようだ。
大阪府堺市に本社を構える運送事業者は1月、大型貨物の輸送を、ある運送会社に依頼した。すると傭車として現れたのは、社長自身もドライバーとして働く小さな運送会社だった。大型貨物輸送に関しては経験も多く、今まで事故もないと、手配した会社からの評価もあり、請け負ってもらうこととなった。輸送当日は初めての取引であることから、請け負った運送会社社長が輸送を行うことになっていたが、手の怪我により急きょ、違うドライバーが運ぶこととなった。輸送は深夜を予定し、荷主のところで荷物を積み、横転がないようにワイヤー、歯止めなどをしていた。荷主は簡単な歯止めに対し、「もう少ししっかりとした歯止めをした方がいいのではないか」と指摘したが、ドライバーは「普段から自分たちは大型貨物を輸送している。この歯止めで十分」と忠告を無視した。
輸送当日の深夜、国道を走行中、橋を越え急なカーブで荷物が落下した。反対車線を越え、歩道のガードレールに衝突して止まった。幸い反対車線には車の通行がなかったため荷物に衝突することはなかったものの、もし車がいれば大きな事故となっていたのは間違いない。
この連絡を受けた荷主は、元請けである運送会社社長と担当者を呼び付け、謝罪文をはじめ今後の対応策、資料などの提出を求めた。一時は取引停止とも言われたが、荷物も修理が可能で、さらに重大事故につながらなかったため、取引は継続することとなった。
元請けである運送会社は、「いつもなら自社で輸送を行っているが、当日は車両がなく、予算を決めて傭車先に連絡した。しかし傭車先も車両がなく、結果、下請けの下請けという形になった。初めてとはいえ、経験があるという言葉だけを信じたのが間違いだった。運賃が安いということもあって依頼したが、大型貨物輸送については高くても経験豊富で、用心に用心を重ねる名の売れた専門業者に依頼した方がよいと思い知らされた」と話していた。(佐藤弘行)
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