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    景表法違反の疑い? 「100円引っ越し」「0円引っ越し」

    2012年3月12日

     
     
     

     インターネットでPRし、引越業界に旋風を巻き起こしている「100円引っ越し」「0円引っ越し」。荷物の少ない単身者の近距離移動に限らず、「ファミリー」「オフィス」まで手掛けるケースも現れた。「消費者に誤解を与える」として既存の引越業者らは警戒するが、国交省は昨年、「違法性はない」と結論付けている。ところが、消費者庁は「景品表示法違反の疑いがある」と見ていることが本紙の取材で分かった。「違反」と判断され、排除措置命令を受けても従わない場合、事業者の代表者は「2年以下の懲役または300万円以下の罰金」、当該事業者には「3億円以下の罰金」が科せられる。



     景品表示法(正式には不当景品類及び不当表示防止法)は「商品やサービスの内容、価格などを偽って表示すること」を厳しく規制しており、「100円引っ越し」「0円引っ越し」は同法に抵触するのではないかと、消費者庁は注目する。

     周知の通り、「100円引っ越し」「0円引っ越し」は物流事業者がITベンチャー企業などと提携し、ユーザーがインターネット契約を結ぶことでマージンバックされ、引越料金に充てられる仕組みだ。

     実際には、マージンバックによる引越料金のキャッシュバックのほかに、「向こう2年間は解約しない。途中解約は違約金を支払う」といった契約だったり、「新規開設だけが条件」でも「保証金」を取り、返還は「回線開通から翌々月」のため、2か月分の回線使用料やプロバイダー手数料が発生する。

     これらの具体的な金額をすべて明示しなければ、「不当な表示となり、消費者を不当に誘引していることになる」と同庁。つまり「100円引っ越し」「0円引っ越し」ができる説明があっても、「2年間でいくら掛かり、違約金はいくら」「2か月の使用料金と手数料は○○円」と明記しなければ違法で、「安くなる」理由が「回線開設でマージンバックがあるから」程度では駄目というのだ。

     「契約時にすべて話をして、納得して利用してもらっているから問題ない」といっても、同庁は「契約ではなく『表示』が問題。例えば誇大広告で来店させるのと同じ。景表法では『有利誤認』による誘引と解釈できる」と説明。

     インターネットを開けば、正にそうした表示が多い。景表法違反の疑いがある場合、消費者庁は関連資料の収集、事業者への事情聴取など調査を開始する。その結果、違反行為が認められると「誤認の排除」「再発防止策の実施」などを命じる「措置命令」を行う。これに従わず改善されなければ懲役、罰金となり、違反の事実が認められなくても「違反の恐れ」がある場合は「警告」、「違反につながる恐れ」では「注意」の措置となる。

     同庁では現在、景表法違反に関する情報提供を求めているが「情報に基づく措置結果や調査経緯などは一切公表しない」方針という。(土居忠幸)

     
     
     
     
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