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    運輸安全マネジメント 義務付け対象拡大へ

    2012年3月30日

     
     
     

    kokkou_0402.jpg 2006年10月にスタートした「運輸安全マネジメント」は現在、大手や中堅のトラック事業者を中心に「PDCAサイクル」の考え方を採り入れた安全管理体制が整備されてきた。一方、中小・零細には十分浸透しておらず、「事故情報の開示」さえしないケースも目立つのが実情で、国交省では12年度中にも検討会を立ち上げ、安全管理規程などの義務付け対象とされる「保有車両300台以上」の規定をはじめ、評価システムを見直す方針を固めた。



     運輸安全マネジメント制度は、05年当時、ヒューマンエラーによる運輸関係の重大事故が相次いだことをきっかけに創設。「経営トップから現場まで一丸となって自社の安全管理体制を構築し、その継続的取り組みを行う」もの。こうした企業の取り組みに対し、国は「運輸安全マネジメント評価」を実施。社長、担当取締役など経営管理部門から聴き取りや関係書類の確認などを行う。評価そのものは「指導・処分」といった性格ではないが、改善されなければ当然、行政処分の対象になる。

     同マネジメントはすべての事業者が対象だが、安全方針、安全重点施策を明記した「安全管理規程」を作成し、届け出しなければならず、また「安全統括管理者」を置く義務があり、評価の対象となるのは保有車両300台以上(バスは200台以上)の事業者に限られる。これを「100台以上」などに対象を拡大する計画で、具体的にどの程度の規模にまで引き下げるかは未定。

     見直しの議論は、トラック関係でなく、「バス事業のあり方検討委員会」から出てきたという。同評価は、3年目を迎えた09年10月に改正。それまでの安全管理規程等義務付け事業者に加え?乗り合いバス100台以上?都市間を結ぶ高速バス、高速ツアーバス事業者?1当の死亡事故を起こした事業者?危険物の大量漏洩事故を起こした事業者──についても評価が行われることになった。バス関係者によれば、「かなり効果がある」ことから、「トラックも300台以上でなく、評価対象をもっと引き下げるべき」との声で国が動き始めたという。
     トラック業界は車両規模で「200台以上」はわずか0・5%、「100台以上」でも1・7%とほとんどが中小・零細。このため元請け事業者は「継続的関係のある下請け業者に安全管理体制の構築・改善を要請・指導する」こととされ、これも安全マネジメント評価の対象になっているが、元請けにとっては指示通りに輸送してくれる事業者が一番で、無理な輸送にも柔軟に対応する実運送業者が喜ばれる現実がある。安全マネジメントを完遂するには荷主企業の協力も不可欠だ。
     「こうした構造的問題にメスが入らなければ、いくら義務付け対象を広げても本当の『輸送の安全確保』などできない」との指摘も多い。(土居忠幸)

     
     
     
     
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