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防犯対策に力入れる 元従業員による盗難も…
2012年5月15日
関西のある運送会社では先月、防犯システムを新たに導入した。トラックの部品の盗難が相次いだためで、従来のシステムより精度が高く、防犯性能が向上しているという。トラックの部品の盗難については、部品自体が近年はコンピューター化され、破損部分だけの交換が出来ずユニットごとの交換が必要となり、このような事情も背景にあると指摘する関係者もいる。しかし、運送会社への盗難事案は元従業員による犯行が増えているようで、賃金低下やリストラなど労務環境が悪化していることが影響しているようだ。
防犯システムは近年飛躍的に性能が向上しており、遠隔モニタリングシステム(RMS)を採用した機種が主流になってきている。これはインターネットを利用して遠隔地でもカメラの映像と音声の視聴ができ、セキュリティー面だけでなく管理面でも活用が期待でき、運送業界でも導入する事業者は少なくない。同社が導入したRMSは、携帯電話からカメラを上下左右に移動させることができる。また、ズーム機能を使うことで100?先の車のナンバーまで判別でき、以前使っていたものと比べても画像の解像度も格段に向上しているという。同社では以前、録画データを盗られた経緯があるが、データセンター内のサーバーに録画データを保存するので、万一の火災時やHDDレコーダー盗難による録画データの紛失の心配がなくなった。
運送会社社長はセキュリティー面で安心した表情を浮かべていたが、大手セキュリティー会社によると、「最近では、運送業界でも何者かに夜間、車庫や事務所に侵入されて被害に遭うケースが少なくない」とし、傾向としては「単にトラックや事務所内のものを盗むというよりも、明らかに嫌がらせと見られるケースが増えている」と話している。
また、中堅セキュリティー会社では、「燃料タンクへの異物混入、フロントガラスの破損、また、タイヤのパンク、トラックの付属部品の取り外しが目立っており、嫌がらせを行う犯人の多くがその運送会社に在籍していた元従業員。嫌がらせをすることで会社への恨みを晴らしているケースが増えている」という。
昔、トラックへの嫌がらせを受け、仕事に支障を来たしたことがあるという運送会社社長は、「景気低迷で荷動きが悪化し、『暇になったから会社を辞めてくれ』と一方的に会社側から解雇されるなど、従業員が円満に退職できていないケースを最近よく聞くようになった。ハイテク機器を駆使して防犯対策をすることも大切だが、しっかりした労使の協調関係を築いていくことも重要である」と話している。(大塚 仁)
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