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高齢ドライバーに苦慮 功労者にトラック降りろと言えず…
2012年9月14日
ドライバーの平均年齢の上昇など、少子高齢化や定年延長の影響が徐々に出始めているトラック業界。若年労働力の確保が大きな課題となっている一方で、もう一つの課題が、にわかに目立ち始めている。それは、高齢ドライバーへの対応だ。埼玉県の事業者は、「元気であれば降車を促すのはなかなか難しい」と指摘した上で、「運転免許保有の年齢に上限を設けるか、もしくは営業用トラック乗車の年齢制限を設けるか、そろそろ行政の対応が必要ではないか」と話している。
同事業者には、70歳近い高齢ドライバーが数人いる。もう何十年も勤める、同社の功労者ともいえる人たちだ。しかし、70歳近くの高齢になると、どうしても体がいうことを利かなくなる。「本人が大丈夫といっても、見ているこちら側からすると心配になってくる」と社長は指摘する。とはいえ、本人がトラックに乗りたいと主張すれば、体を気遣いながら乗車させるしかないのが実情。これまで事故もなく、常に安全運転を心がけて働いてくれたドライバーは、まだまだ元気で、若者よりも一生懸命働いてくれる姿に頭が下がる思いだと話す。
「若者はダメだったら、ほかに行けばいいと思っているのか責任感を感じられない者も多いが、高齢者は会社を解雇されると後がないという危機感があるのか、責任を持って仕事をしてくれる」という。
ただ、年齢的に体が動かなくなってくるという問題もある。今まで普通にできていたことに時間が掛かったり、できなくなってしまったりすることもある。「そろそろ潮時かなと感じるが、こちらとしてもなかなか言い出しづらい」と本音を明かす。先日、68歳になる高齢ドライバーに、構内作業への職場変更を勧めた。ドライバーはトラックへの乗車を希望したが、自身の体の衰えも感じていたのか、今は構内作業に従事している。
「これまで一度も事故を起こさず、ドライバーの模範といえる人だった。がんばってくれただけに、トラックを降りろというのは、正直申し訳ない気持ちでいっぱいだった」と、職場変更を促す社長の言葉も重かったという。「個人差があるだけに、年齢で職場変更を実施するのは困難」と指摘するが、一方で、もし事故を起こしてしまったら、事故を起こした本人だけでなく、会社も非難を受けかねないと、社会的責任の危機感を持っている。近年、高齢者が運転する車の事故が目立ってきているだけに、社長も他人事ではないとの認識だ。
「運転免許保有の年齢に上限を設けてもらうか、それができなければ、せめて営業用トラックには年齢制限を設け、会社の判断に委ねないようにする必要があるのではないか」と、行政への対応を求めている。(高田直樹)
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