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    北海道国際輸送プラットホーム 構築への取り組み(前編)

    2012年10月4日

     
     
     

    hop_1001.jpg 札幌大学と北海道開発局が進めている「北海道国際輸送プラットホーム(HOP)」構築の取り組み(既報)が面白い。道産品の輸出拡大と地域経済の活性化のため、5年後をメドに輸送・通関・商社機能を持ったインフラを創ろうとする産学官が連携した動きで、9月下旬から月2便(第2・第4火曜)のペースで香港に向け「冷蔵・冷凍貨物を混載した航空小口輸送」を一律料金で恒常的に行う。「HOP1」と名付けた全国初のサービスは、道内どこからでもダンボール1箱から集荷し、1箱9000円(プラス販売希望価格の9%)で香港まで輸送する。「同様のサービスはなく、仮に同じ荷物を香港まで運ぼうとすると4万〜5万円かかるのではないか」(北海道開発局港湾空港部港湾計画課の三岡照之調査係長)というから、非常に安価な物流サービスだ。



     料金の安さの原資は税金かと思いきや、意外なことに「HOP構築に対して開発局では予算を出していない」(同)という。これまでにない新たなサービスを立ち上げるにもかかわらず、「開発局は道路や港湾といったハード面の整備は行うが、今回のようなソフト面についてはお金を出したくても出せない」(同)ため、予算措置をしていない。北海道の輸出を促進したいと考えて参画する各事業者に対し、情報提供や信用の付与、その他諸々のサポートに徹している。

     HOP1の輸送・通関業務は、公募の結果、ヤマト運輸北海道支社をはじめとしたヤマトグループが請け負った。「ヤマトグループにとっては、しばらくは持ち出しとなるかもしれないが、まずは小ロットの貨物を集めて運ぶルートの構築を優先させる。(9月20日時点では)まだ荷物がない状況だが、3年後には香港に月間150個、シンガポールに月間100個程度の冷蔵・冷凍小口貨物を定期的に持っていけるよう開拓していきたい」(同)と意気込みを語る。

     今後は、シンガポール、マレーシア、台湾などへ航空小口輸送のルートを広げるほか、海上LCL輸送も手掛けていく。物流の構築が進めば、2年後をメドに本格的な商社機能を追加し、市場調査やマッチング、代金回収などのサービスを提供する「HOP2」のフェーズに入る予定だ。

     HOPが完成する5年後には、独立した事業体として切り離す。現状では、誰がどのくらい出資し、誰が運営にタッチするのかは未定で、「完全に民間ベースの組織になるのか、官民が出資する形になるのかは今後の進展次第」(同)。それまで参画した物流や商流のノウハウは、完成したプラットホームに引き継がれることになる。

     HOP1がスタートするにあたり、「国内の物流大手や中国・大連の物流企業から取り組み内容の照会や参画希望の申し出があった」ものの、「北海道運輸局や地元物流団体、地場の物流事業者からの問い合わせは全くない」(同)という。開発局は道庁や北海道食産業総合振興機構、食クラスター連携協議体などの組織とは緊密に連携をとっているが、北海道の物流に関する取り組みにもかかわらず、建設畑の開発局が主導しており、北海道の物流業界が完全に取り残される形で進んでいるのが実態だ。

     開発局では「HOPに参画できるかは、その都度、事務局で判断するが、道産品輸出促進研究会へオブザーバーとして参加することなども可能なので、興味がある物流関係者はぜひ、声をかけていただきたい」(同)としている。(玉島雅基)

     
     
     
     
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